サッカー日本代表 6月の消化試合で必要なのは「新陳代謝」「再構築」 識者が提言 (3ページ目)

「勝敗よりも攻守両面の戦術再構築に重点を」
中山淳●文 text by Nakayama Atsushi

 次回の2026年W杯から、本大会出場国枠はこれまでの32から48に拡大した。とりわけアジア枠は、4.5枠から8.5枠に倍増(前回大会はカタールが開催国枠で出場したため、1+4.5枠)。アジアのなかでトップランクに位置する日本にとっては、W杯予選で敗退する可能性はほぼなくなったと見るのが妥当だろう。

 すなわち、今年9月からスタートするアジア最終予選も、これまで以上に余裕を持って戦えるはず。それを考えれば、3月26日の北朝鮮戦の不戦勝により、現時点で2次予選突破を確定した日本は、6月に予定されるアジア2次予選の残り2試合では、これまで出場機会のなかった1.5~2軍のメンバーを編成し、最終予選や本大会を見据えて選手層に厚みを増すための機会にしたいところだった。

 しかし、残念なことに、現在の日本にそれほどの余裕はない。余裕どころか、本来あるべき姿を見失った状態にある。

 このままの調子でアジア最終予選(18カ国が3組に分かれてリーグ戦を行ない、各組2位までが本大会出場権を獲得)を迎えれば、予選敗退はないにしても、苦戦する可能性大だろう。グループ3、4位となってプレーオフを戦わなければいけなくなることも考えられる。本大会までの強化日程を考えると、それは望ましいことではない。

 そういう意味で、6月6日のミャンマー戦と11日のシリア戦は、チームとしての下地をもう一度見直し、再構築する機会にする必要がある。

 W杯ベスト8以上の目標を掲げ、昨年3月に船出した第2次森保ジャパンは、そのために必要とされた「主導権を握って勝つ」というミッションを無視したまま、チーム強化が行なわれた。そんななか、対戦相手との兼ね合いもあり、いつのまにか、ボール保持率が低い試合では強さを発揮するが、保持率が高い試合で苦戦するという傾向が定着してしまった。

 当然、格下もしくは同レベルの相手との対戦が続いたアジアカップでは、後者の試合展開となったために大苦戦。さらに、相手が引いて守り、攻撃はロングボール主体というサッカーを展開してきたことで、日本の強みである個の力や組織力も半減してしまった。

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