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U-23日本代表、五輪予選招集メンバーを占う マリ戦、ウクライナ戦で株を上げたのは? (3ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki

【デル・ピエロの域に近づいた荒木遼太郎】

 攻撃陣で目を引いた選手はもうひとりいる。久しぶりの招集となった荒木遼太郎(FC東京)だ。この選手の問題は、古典的な10番像から脱却できていないことにあった。ストライクゾーンが狭すぎてどのポジションでプレーさせたらいいのか、現代サッカーに落とし込みにくい選手になっていた。

 だが今季、FC東京に移籍するや「2トップ下」的な司令塔をイメージさせる攻撃的MFから「1トップ脇」に近い、FW色の強いアタッカーに変身。サッカー選手として大成までもう一歩という段階にこぎつけている。リスクの高いピッチ中央でのミスをどれだけ減らすことができるか。褒めすぎを承知で言えば、往年のアレッサンドロ・デル・ピエロ(元イタリア代表)やラウル・ゴンサレス(元スペイン代表)に近い10番兼9番の域に近づいたと言うわけだ。

 先発したウクライナ戦では、マイボール時には4-3-3のインサイドハーフとして、相手ボールに転じると高い位置へ移り、4-4-2の2トップとしてプレッシングに加わった。五輪チームにとっては、真ん中付近でしかプレーできない非多機能性はネックになるが、大岩監督がそのあたりをどう判断するか、目を凝らしたい。

 大岩監督の起用法からひとつ明らかになったのは、このチームの中心が藤田譲瑠チマ(シント・トロイデン)であるということだ。マリ戦では流れの悪くなった終盤に交代出場を果たし、続くウクライナ戦では先発フル出場を飾った。恐いもの知らずの大将風という側面も垣間見られるが、他の選手にはない余裕と貫禄を備えていることも事実だ。

 山本理人(シント・トロイデン)、川崎颯太(京都サンガ)、松木玖生(FC東京)と、中盤にはその他にも実力者が控えるが、キレのよさが光ったのは、今回招集されたフィールドプレーヤーのなかで最も出場時間が少なかった田中聡だ。ウクライナ戦の後半22分からピッチに姿を現すや、所狭しと、すばしこく動き回り、追加点となるクリーンシュートを決めた。"選びたくなるプレー"とはこのことだ。

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