U-23日本代表、世界との遭遇 突きつけられた戦力差を埋めることはできるか (3ページ目)

  • 小宮良之●取材・文 text by Komiya Yoshiyuki

 そう振り返った藤田譲瑠チマは、このチームではエース格と言える。ベルギーのシント・トロイデンでは準レギュラーで、場数も踏みつつある。しかし、マリのMFで3点目を決めたキャプテン、ブバカル・トラオレはプレミアリーグ、ウルバーハンプトンの準レギュラーだ。

 突きつけられた戦力差があった。

 もっとも、選手たちは卑屈になることはない。この年代まではしばしば逆転現象が起きるし、かつての長友佑都のように、大会直前までの短い間に急速に力をつける選手もいる。日本人はこうした「世界との遭遇」を触媒に成長を重ねてきた。さらに言えば、長谷部誠、遠藤保仁、川島永嗣のように、五輪代表組を追い越す選手が代表の軸になるケースも少なくないのだ。

 マリ戦の敗北はどのようにも捉えられる。パリ五輪世代すべての選手が、向き合うべき試合と言える。そこに「世界」はあるのだ。

 3月25日、U‐23日本代表はU‐23ウクライナ代表と対戦する。パリ五輪欧州代表で評判の高いウクライナは、最高のライバルになる。

プロフィール

  • 小宮良之

    小宮良之 (こみやよしゆき)

    スポーツライター。1972年生まれ、横浜出身。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。

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