三笘薫、伊東純也の代役が町田にいた 多機能ウインガー・平河悠の日本代表招集に期待 (3ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki

【細かなボール操作を左右均等にできる】

 しかし、このタイプは短期集中トーナメントを戦うチームにはとりわけ、欠かせない選手だと見る。

 その答えは後半のピッチ上にあった。平河はポジションを左から右に変えていた。後半27分には大きな切り返しから際どい左足シュートを放っている。その2分後、右サイドでボールを受け、鹿島の左SB安西と1対1になった際も、後ろ足にあたる左足でボールを操作。縦抜けを図ろうとする動作を見せた。ここでは仕掛けの動きだけで縦勝負はしなかったが、左だけでなく右にも適性があることは、このアクションで一目瞭然となった。

 昨季までを振り返れば、右と左のプレー機会はほぼ半々だった。右も左も苦にしないウインガーはそうザラにいない。多機能的なのだ。

 伊東純也も左でプレーするが、せいぜい"こなす"程度だ。右を10とすれば、左は4だ。久保建英も右を10とすれば左は3。堂安律は右10対左1で、三笘に至っては左10対右0だ。中村も三笘に近いだろう。先述の俵積田も同様だ。

 細かなボール操作を両足で、左右均等にできる。代表チームという人数に限りがある集団にとっては重宝する選手でもある。

 日本代表に選ばれるのが先か、欧州に旅立つのが先か。「欧州組になってから選ぶ」では、代表監督として恰好のいい話ではない。平河が森保一監督、大岩監督のお眼鏡にかなうことを期待したい。

プロフィール

  • 杉山茂樹

    杉山茂樹 (すぎやましげき)

    スポーツライター。静岡県出身。得意分野はサッカーでW杯取材は2022年カタール大会で11回連続。五輪も夏冬併せ9度取材。著書に『ドーハ以後』(文藝春秋)、『4-2-3-1』『バルサ対マンU』(光文社)、『3-4-3』(集英社)、『日本サッカー偏差値52』(じっぴコンパクト新書)、『「負け」に向き合う勇気』(星海社新書)、『監督図鑑』(廣済堂出版)、『36.4%のゴールはサイドから生まれる』(実業之日本社)など多数。

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