日本代表、W杯予選北朝鮮戦の招集メンバーは? 識者4人の森保ジャパン改造論 (4ページ目)

【選手層を厚くすることは喫緊の課題】

 振り返れば、大会前にできるだけ多くの選手を起用してチーム全体で優勝できるようにトライすると公言していながら、さまざまな事情があったにせよ、実際は決勝トーナメント2試合のメンバーはほぼ固定されていた。もしも準決勝、決勝と勝ち上がっていたとしても、スタメンに大幅な変更はなかったと思われる。

 その経験を踏まえても、現在の日本代表で重要なことは、これまで以上に選手層を厚くしておくことになる。調子のよくない選手を躊躇なくベンチに下げることができ、試合の流れを変えられる選手を育てておくことが、喫緊の課題だ。

 アジア2次予選最初の2試合は、どちらも5-0で完勝。まったく危なげなく勝ち点6を積み上げた。このアドバンテージを最大限に活用するには、少なくとも次の北朝鮮とのホーム&アウェー2試合では、フレッシュなメンバーを招集すべきだろう。

 ヨーロッパカップなど、過密日程でプレーしているような欧州組は、しばらくクラブに集中してもらったほうが得策だ。選手個人はもちろん、この先の日本代表のことを考えても、ここで無理して招集する必要はない。負傷のリスクはできるだけ軽減させるべきだ。

 そもそも、アジア2次予選はグループ2位以上で最終予選に駒を進めることができる。W杯のアジア枠が8.5に拡大した今大会から、過去のアジア最終予選と比べて、予選敗退の確率が極めて低くなっているという背景も忘れてはいけない。

 このまま毎試合ベストメンバーで戦い続けると、現在少しずつ始まりつつあるマンネリ化の傾向が進む可能性も高くなるだろう。過去を振り返っても、監督在任期間4年間でもマンネリ化は避けられないのだから、8年にわたってチームをフレッシュな状態に保つことは、想像以上に困難な作業となることは言うまでもない。

 果たして森保監督は日本代表に誰を招集するのか。いろいろな方面からのプレッシャーはあるだろうが、先につながるメンバー招集に期待したい。

著者プロフィール

  • 小宮良之

    小宮良之 (こみやよしゆき)

    スポーツライター。1972年生まれ、横浜出身。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。パリ五輪ではバレーボールを中心に取材。

  • 中山 淳

    中山 淳 (なかやま・あつし)

    1970年生まれ、山梨県出身。月刊「ワールドサッカーグラフィック」誌編集部勤務、同誌編集長を経て独立。スポーツ関連の出版物やデジタルコンテンツの企画制作を行なうほか、サッカーおよびスポーツメディアに執筆。サッカー中継の解説、サッカー関連番組にも出演する。近著『Jリーグを使ってみませんか? 地域に笑顔を増やす驚きの活動例』(ベースボール・マガジン社)

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