板倉滉は森保采配の犠牲者 イラン戦必然の敗北にその指導スタイルを今後も無条件で支持するのか

  • 中山 淳●取材・文 text by Nakayama Atsushi

サッカー日本代表のアジアカップ準々決勝のイラン戦敗退は、これまでの森保一監督のやり方を見れば、言わば必然の結果だったと言える。試合の詳細を分析すれば、今後も同じことが起こり得ると覚悟するしかないだろう。

【懸念されていた根本的な問題点があぶり出された】

 アジアカップ優勝を目標とする日本にとって、準々決勝で対戦するイランは決勝にたどり着く前に立ちはだかる最大の難所だった。それを乗り越えられれば優勝トロフィーが視界に入るところだったが、しかし現実はそう甘くはなかった。

森保一監督は一貫したスタイルだが、それを考えるとイラン戦敗退は必然だった photo by Sano Miki森保一監督は一貫したスタイルだが、それを考えるとイラン戦敗退は必然だった photo by Sano Mikiこの記事に関連する写真を見る 試合を振り返れば、これまで懸念されていた現チームの根本的な問題点があぶり出された格好で、そういう意味でも今回の敗北は偶然ではなく、必然だった。

 では、一体どこに敗因が潜んでいたのか。今後の日本代表の強化を考えるためにも、改めてこの試合のピッチ上で起きていた現象を客観的に検証する必要があるだろう。

 この試合の勝敗を分けた最大のキーポイントは、イランのアミール・ガレノイー監督の采配による守備方法の変化にあった。

 エースの9番(メフディ・タレミ)を出場停止で欠くイランは、1トップの20番(サルダル・アズムン)の後方に本来ボランチの14番(サマン・ゴドス)を配置。布陣は、従来どおりの4-2-3-1を採用した。

 そのなかで、前半と1点ビハインドを背負った後半では、微妙に守備方法を変化させ、結果的に日本はそれに対応できないまま、試合終了間際に逆転を許すこととなった。

 前半のイランは、無理してハイプレスをかけず、基本的には14番が1列前に出て20番と2トップを形成し、ミドルゾーンで4-4-2のブロックを敷いた。

 特徴的なのは、最終ラインの4人がしっかりと幅をとって守っていたこと。サイドバック(SB)とサイドMFのふたりがサイドエリアで数的優位を作って日本のサイド攻撃を封じようとした。しかしその分、中央にはスペースが生まれるため、立ち上がりからボールを握ったのは日本だった。

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プロフィール

  • 中山 淳

    中山 淳 (なかやま・あつし)

    1970年生まれ、山梨県出身。月刊「ワールドサッカーグラフィック」誌編集部勤務、同誌編集長を経て独立。スポーツ関連の出版物やデジタルコンテンツの企画制作を行なうほか、サッカーおよびスポーツメディアに執筆。サッカー中継の解説、サッカー関連番組にも出演する。近著『Jリーグを使ってみませんか? 地域に笑顔を増やす驚きの活動例』(ベースボール・マガジン社)

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