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板倉滉は森保采配の犠牲者 イラン戦必然の敗北にその指導スタイルを今後も無条件で支持するのか (3ページ目)

  • 中山 淳●取材・文 text by Nakayama Atsushi

【後半、ビルアップからの前進ルートを完全に失う】

 試合の流れが大きく変わったのは、ハーフタイム後だ。両チームとも選手交代なしで迎えた後半に入ると、1点のビハインドを背負ったイランは守備方法を変え、とりわけ日本のビルドアップ時は日本のCBコンビに圧力をかけるように変化させた。

 ポイントは、前半は浮かせていた板倉にも14番がプレスをかけるようになったこと。代わってボランチの8番(オミド・エブラヒミ)が遠藤、6番(サイード・エザトラヒ)も守田へのパスコース封じ、前半同様、21番と7番は日本の両SBを封じにかかった。

 これにより、数的同数で最終ラインに圧力をかけられた後半の日本は、ボールを前線に蹴る以外、思うように前進できない状況が続いた。たとえば、前半の板倉からボランチ遠藤へのパスは4本、GK鈴木彩艶へのパスは2本だったが、これが後半になると、板倉から遠藤へは2本に半減し、GK鈴木へのパスは11本に急増。

 この数字だけでも、いかに板倉が自陣深いエリアでボールを保持した時にパスコースを見つけられず、後ろにボールを下げざるを得ない状況に陥っていたのかがわかる。55分に生まれたイランの同点ゴールも、板倉がバックパスしたボールをGK鈴木がロングキック。それをイランに回収されたところからの速攻で、最後は板倉が21番に背中をとられて失点を喫している。

 いずれにしても、ビルドアップからの前進ルートを完全に失った日本は、ロングボールを蹴ることで何とかDFラインを上げようとした。すると、待ってましたと言わんばかりにイランが狙い始めたのが、日本のDFラインの背後、特にCBの後方に生まれるスペースにロングボールを入れ、1トップの20番がそれを受けるかたちの攻撃だった。

 50分のオフサイドになった20番のシュートシーンがその伏線で、1失点後の63分には再び20番がDFラインの背後でボールを受けると、板倉と毎熊をかわしてフィニッシュ。逆転弾に見えたそのシーンはオフサイドの判定となったが、後半のイランはシンプルながらも効果的な攻撃で次々とゴールチャンスを生み出した。

 前半7本(枠内1本)だったシュートも後半は10本(枠内3本)に増え、最終的にイランのシュート数は計17本を記録。一方の日本は、前半4本(枠内1本)、後半4本(枠内1本)の計8本に終わっている。自陣深いエリアでのパス交換が増えたため、最終的なボール支配率は58.1%と、前半に比べて0.7%しか低下しなかったが、ボール支配率で上回る試合では苦戦するという森保ジャパンの傾向に変化はなかった。

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