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日本代表のモヤモヤが晴れない 圧倒的ボール支配も前半枠内シュート1本の要因は (2ページ目)

  • 中山 淳●取材・文 text by Nakayama Atsushi

【日本がデータで大きく上回る】

 その一方で、試合の中身に目を向けた場合、今回のインドネシア戦で今後の戦いに向けたポジティブな材料を得られたかと言えば、残念ながらイエスとは言い難い。決勝トーナメント以降の戦いを考えると、参考外の試合だったというのが実際のところだろう。

 まず、大幅にスタメンを入れ替えた日本に対しても、インドネシアとの間にある実力差があまりにも大きかったことがひとつ。ボール支配率は71.3%対28.7%と日本が圧倒し、シュート数も14本対3本で日本が大きく上回った。

 とりわけこの試合の前半における日本のボール支配率は76.5%対23.5%で、シュート数は7本対0本だったことが、両チームの力量の差を如実に表わしていた。

 試合展開も日本にとって理想的だった。試合開始2分に上田綺世が相手ペナルティーエリア内で4番(ジョルディ・アマト)にホールディングされながら倒されると、それがVAR判定によってPKに。上田がそのPKを決め、前半6分という時間帯で幸先よく先制することに成功したからだ。

 これにより、引いて守る格下相手にゴールをこじ開けられず、時間の経過とともに焦りが出始めるという最悪の展開にはならなかった。そのうえ、後半から前に出ざるを得なくなったインドネシアに対し、日本は51分に得意の速攻から追加点を決め、88分にもオウンゴールでダメ押し。

 最後に失点したのは大きな反省点だが、試合を通してみれば、日本が危なげない戦いで勝ち点3を積み上げたと言える。

 これから始まる決勝トーナメントの戦いにおいて、おそらくインドネシア戦のような実力差のある相手と対戦することはない。日本が一方的に敵陣でボールを支配するような試合展開にもならないだろう。そういう意味でも、スタメンの構成も含めて、今回は例外的な試合だったと捉えておくべきだ。

 とはいえ、そんな試合のなかでポジティブな部分も見て取れた。それは、今回のインドネシアと同じ5-4-1の布陣を採用していた初戦のベトナムとの試合で見られた問題点が、この試合では前半から修正されていたことだ。

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