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日本代表、インドネシア戦勝利でも、いまだに見えない前線4人の「最適解」 (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki

【確かに久保は中心選手だが...】

 久保は例によって左にも右にも流れた。自軍深くにまで下がりボールを受けた。ポジションにこだわらない流動的な動きとはこのことである。久保にはつまり、誰よりも自由が与えられていた。

 だが、この日の久保を10点満点で採点するならば、平均値である6程度に留まる。活躍したとは言えない。イラク戦もそんな感じだった。4-2-3-1の1トップ下として、あっちこっちに顔を出したが6点に届くか届かないかの、どちらかと言えば苦戦の元となるような精彩に欠けるプレーだった。

 レアル・マドリードの関係者が見たらさぞ落胆するに違いない。買い戻したくなる気持ちは失せるだろう。

 ここに来て、巷では「アジアのレベルは甘くない」などとする論調が目立つ。相手を持ち上げることで心を鎮め、自らの気持ちを整理しようとする人が増加中だ。しかしベトナム、イラク、インドネシアは、チャンピオンズリーグあるいはスペインリーグで戦う相手に比べれば明らかに劣る。

 これは厳然たる事実である。アジアカップでまさに格下を相手に四苦八苦する久保について、どう説明すればいいのか。その言及の甘さ、対処策、改善策が見えないところに日本の不調の原因を見て取ることができる。

 久保は確かに日本の中心選手である。三笘薫と二枚看板を張るスター選手だ。しかしそのことと、ポジション的に見た場合の「中心」とは別次元の話になる。

 三笘と比較すれば明らかだ。三笘は左ウイングでしかプレーしない。ブライトンのロベルト・デ・ゼルビ監督は1度、右で試したことがあったが、それっきりだ。左ウイングのスペシャリストとして三笘を使っている。その一方で、三笘をパスカル・グロス(ドイツ代表)らとともに外せないチームの中心選手だと述べている。

 真ん中でプレーしていないのに中心選手。この三笘に対する概念が、日本代表の久保には働いていない。

 レアル・ソシエダで久保はもっぱら右ウイングを務める。これまでトップ下、左ウイングもこなしたが、右に定着すると、停滞気味だった力はめきめきと向上。レアル・ソシエダの「中心」選手になった。

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