カタール2年目の谷口彰悟、新監督の信頼も勝ち取った「縦を狙ったパスも否定されなくなった」 (2ページ目)
初めて一緒に仕事をする監督のもとでは、その人の発言や行動に気を配り、目を光らせるようにしている。
言葉のチョイスや行動の意図を汲み取ることで、その監督が好むこと、好まないことが見えてくるし、性格や人格も見えてくることが多いからだ。ひいては監督がチームや選手に対して求めてくることを見極め、判断する材料にもなっていく。
学生の時も、プロになってからも、どのチームでも、どの監督のもとでも、自分が試合に出るために、またチームに貢献するために、監督の意図をいち早く汲み取る努力は行なってきた。そのため、今季からジャルディム監督がチームを率いることになっても不安はなかった。
そして、彼のもとでプレーするようになって、まず感じたのは、選手以上に監督自身が「負けず嫌い」であることだった。
チーム全体のミーティングで、監督は僕ら選手に問いかけた。
「何のためにプレーするのか」
そして、自ら答えを提示した。
「それは(試合に)勝つためだ」
ジャルディム監督は、試合中も「勝つためにプレーしよう」と訴え、練習中も「勝つためのプレーを選択しよう」と声をかけ続けてくれている。
そして、その姿勢、哲学は、目指すサッカーにも表れている。
勝利にこだわるジャルディム監督は、リスクを負ったプレーを好まない傾向にある。可能なかぎりリスクを伴うことなく、確実に勝利を掴み取る。そのため、チームはシンプルかつ手堅いサッカーを目指している。
たとえばだが、センターバックである自分から中央へと縦にパスを入れると、監督からは「外へ、外へ」と言われ、サイドに展開するように指摘を受けた。
川崎フロンターレ時代や日本代表でプレーしている時の感覚で、チャンスと見て縦にくさびを入れたが、それはいわゆる監督が好まないプレーだった。
相手の出方をうかがう「遊び球」のような意味を込めて、縦関係にあるボランチとパス交換を行なった。その時、ボランチが前を向けるのであればターンしてボールを運んでもいいし、難しければリターンしてくれればいいと考えてパスを出したが、そうしたリスクを冒す必要はないという意図を監督から読み取った。
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