U-22日本代表に大敗したアルゼンチンの衝撃 指揮官の狼狽ぶりに重なるメッシの言葉 (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki

【沈痛すぎるマスチェラーノの表情】

 同点にされた後、アルゼンチンは極端に浮き足立つ。後半30分には自陣でボールを失い、ショートカウンターを浴びると、左からクロスを再び鈴木に決められた。5分後にも左サイドでの攻防に敗れ、ボールを運ばれて4失点目。最後はロングパス1本で抜け出され、5失点目を喫した。

「Preocupante」(気がかりな、心配な)

 マスチェラーノ監督は、その言葉を何度も口にした。試合後の監督会見で使う言葉としては、かなり重い。会見は指揮官として体面を保つべき場面であり、そこでの「心配」という表現は危機的状況と隣り合わせと言える。本来はアウェーの監督であるマスチェラーノが先に会見へ来るはずが、日本の大岩剛監督のほうが先だった。受けた衝撃の大きさと無関係ではないだろう。実際に会見での表情は沈痛で、悲劇に遭遇したかのように重かった。

 敗北の痛みは強烈だ。

「長旅の影響などがあるのでしょうか?」

 日本人メディアの気を遣った問いかけに、マスチェラーノはさすがに意地を見せた。

「私は言い訳を探すようなタイプではない。同点にされてから与えた"弱いチーム"というイメージが心配だ。組織が崩れ、試合をコントロールできなくなり、たくさんのボールを失った。一方で日本は素早くボールを奪回し、ダメージを与えてきた。我々はミスをすることによって、自信が失われていった。最後の25分間、完全に凌駕されていた」

 マスチェラーノ自身、現役生活は多くの勝利に彩られている。バルサ時代には2度のチャンピオンズリーグ優勝、5度のラ・リーガ優勝、2度のクラブW杯優勝を手にしている。アルゼンチン代表としても2度の五輪優勝、2014年ブラジルW杯はファイナリストだ。

 日本に5-2での完敗は屈辱的だろう。

「(親善試合で)このような内容、結果は初めてのことで、心配している。このように感じることは、決していいことではない。試合で起きたことすべてを分析し、たくさんのことを修正しなければならないだろう」

2 / 3

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る