日本代表はなぜこれほど強くなったのか? 中村憲剛・佐藤寿人に聞いた (4ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei

── 前線にスピードがある選手が多いのも、日本の強みとなっています。

憲剛 それも含めて、今のサッカーを下支えしているのは、個人的には冨安だと思っているんですよ。彼がいることで横幅68メートルを4人で守れるし、ラインを低くしなくてもすむ。ビルドアップも優れているし、対角のボールも蹴れるので、彼がひとりうしろにいることで、いろんな意味で高い位置でやれている気はします。

 冨安が引っ張っているという言い方は正しいかわからないですけど、彼のパフォーマンスにつられてみんなのレベルや基準もどんどん高まっているんじゃないかなと。このレベルに達しなければ置いてかれるみたいな空気感が、今の代表にはあると思います。

── よほど自信がないと、ハイラインを敷くことは怖くてできないですよね。

憲剛 (アンジェ・)ポステコグルー(現トッテナム監督)が来た当初の(横浜F・)マリノスほどハイラインじゃないんですけど、状況を見ながらラインを上げ下げして相手をコントロールし、常に自分たちの戦う面積を狭くして、そのなかで上回っていることは単純にすごいなと思います。なので、技術や強度を発揮できる選手がより残っていけると思うし、サッカーIQが求められるサッカーになってきていると思います。

── 寿人さんは、今のチームのキーマンを挙げるとすると?

寿人 やっぱり、うしろの選手ですよね。あれだけ守れるエリアが広いと前に押し出せますし、 前に人数もかけられる。前からのプレスが外された時にも、広大なスペースをカバーできる個人の能力であるので、そこはかなり大きいと思います。そこで人が代わっても、たぶんやることは変えてないので、求められる基準が本当に高くなってきているなと感じますね。

 あと、前線の選手も、前は2度追い、3度追いみたいな感じでやっていたと思うんですが、今はファーストディフェンダーのところでしっかりと限定していきながら、うしろの選手が連動して守れるようになっている。カタールワールドカップの時の守備とは変わってきているなと感じます。

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