谷口彰悟が語るCBとして途中からピッチに立つ難しさ「ミスが許されないポジション。日本代表であれば、なおさらだ」 (3ページ目)
一方で、うしろが5枚になると、チームの重心が後ろに重たくなり、ラインがずるずると下がりがちになる。5バックの中央で途中出場した自分は、そこを何とか踏ん張り、できるかぎり高いラインでキープしようと心掛けた。ピッチ内でも、そうした意図をみんなが理解していたから、後半を無失点で乗りきるポイントになった。
また、カタールワールドカップのドイツ戦でも5バックで戦い、その時に感じていた反省をチームとして活かそうとした結果が、4-1という勝利につながったように思う。
ドイツ戦のみならず、対戦相手や試合展開に応じて、可変しながら戦うことができていることも、日本代表の強みであり、ひとりひとりの能力が向上している証(あかし)でもある。
実際にドイツ戦とカナダ戦ともに、前半と後半では状況に応じてシステム変更を行なうなどの微修正を図った。大きなシステム変更や細かいポジション変更に対応できているのは、それぞれが多種多様なサッカーに触れ、個人戦術の幅が広がり、戦術理解度も高まっていることが大きい。
また、日本代表では常に対応力が求められるため、柔軟性を発揮できなければ試合に出られないという競争が、僕ら選手たちの能力や思考を自然と加速させている。
実際、臨機応変に対応する力は、日本人の魅力や特徴のひとつ。今の日本代表は、それを最大限に活かしたサッカーを目指している。
試合中は、森保監督をはじめ、ベンチから言われて戦い方を変えることもあるが、ピッチのなかにいる自分たちで状況や戦況を読み、スペースを見つけ出し、対応する場面もある。そうした状況判断力は、代表チームだけでなく、クラブレベルでも必ず求められるプレーだ。
日本代表は、特にひとりひとりが、「こうしたらうまくいくのではないか」「こうやったらスムーズにいくのではないか」といった意見を出し合い、即時行動に移せる選手が多いから、劣勢に立たされていても巻き返し、相手にペースを握られても握り返すことができている。
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