なでしこジャパンに「攻めない75分間」が生まれた悲劇 アジアで各国に力の差がある背景と複雑なレギュレーションの是非

  • 早草紀子●取材・文 text&photo by Hayakusa Noriko

 日本はグループAで1位となることが予想されたオーストラリアとの対戦を回避したかった。その理由は力量差があまりないということ以外にも2つある。最終予選でオーストラリアと対戦することになると、試合が開催される2月は南半球であるため真夏となり、さらにホームアンドアウェーの初戦が日本にとってのホームとなる。暑熱対策が必要となる上に時差こそないが移動時間が長くなってしまう。また、出場権を得る重要な最後の一戦はホームで戦いたいという池田太監督の想いがあった。

 では、オーストラリアとの対戦を避けるためには、どうすればいいのか。その答えが2次予選で同グループとなったウズベキスタンに3グループ中最高成績の2位になってもらうことだった。今大会の複雑なレギュレーションにより、グループCから最終予選に進むチームが出た場合、そのチームがグループAの1位と対戦することになっている。

 かねてより池田監督は「あらゆる可能性を考慮した上で一つひとつの選択をして戦いたい」と語っていた。すべてはパリ行きの確率を上げるための、したたかな戦略で、それだけオリンピック出場は厳しいということだ。

 ウズベキスタンが初戦、同組で2位狙いの最大のライバルであるベトナムを下したことで、日本が"得点を抑えなければならない相手"がウズベキスタンに決まった。ウズベキスタンを率いる本田美登里監督は試合前日、「最終予選に進める最上位2位に入るためには日本戦での失点は3点以内」と設定し、「実力的にもハーフウェイラインを何度超えることができるか、といった展開になるはず」とも話していた。

 そうして、点を獲りたくない日本と、失点を抑えたいウズベキスタンの利害が完全に一致。見栄えの悪い試合ではあったが、結果としてウズベキスタンは目論見どおり、最終戦でインドを退け、自国初となる最終予選進出を決めた。

 結果、最終予選で日本は北朝鮮と、ウズベキスタンはオーストラリアとホーム&アウェーで戦う。

 この2次予選のレギュレーションでは、"計算高い"試合をせざるを得ない選択肢が出てきてしまう。組み合わせ抽選の段階でこの大舞台の出場権の行方が決まってしまう流れは何とか変えられないものか。

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