遠藤航がドイツ戦で実証すべきもの これまでと異なる意識で臨む試合でも揺るがぬ「らしさ」 (2ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • photo by Getty Images

 とはいえ、そこはやはりリバプール移籍後初となる日本代表戦。ファンやメディアの見る目が、多少なりとも変わってくるのは確かだろう。

 遠藤本人も「そんなにやることは変わらない。この(移籍してからの)2週間で自分が急激に成長するわけではないので」としつつ、こう続ける。

「もちろん、期待されているのはわかっていますけど、あくまで自分は、しっかり自分の"らしさ"を次のドイツ戦でも出せるように頑張れればいいかなと思います」

 控えめにも聞こえるその言葉の裏にあるのは、これまで磨き上げてきた"らしさ"への自負に他ならない。それは、日常の戦いの舞台がドイツからイングランドへと移っても、決して揺らぐことがないものだ。

「(リバプールで)自分に求められるものは、たぶんそんなに(シュツットガルトと)変わっていないと思うんです。守備でのよさだったりは、(ユルゲン・クロップ)監督から求められている一番の部分。自分はそうやってリバプールに求められている選手だと、そういう自覚を持ってプレーすることが大事だと思うし、監督から期待されているのは、実際に会って話してみて、自分もすごく感じるので。あとはピッチ上で自分のよさを表現するっていうところだけだと思うし、とにかく期待に応えられるようにっていうところですね」

 ワールドカップのグループリーグ初戦で、日本代表が歴史的勝利を手にして以来となるドイツとの再戦。かつては日本がはるか頭上に見上げていた世界的強豪も、今では勝利を現実的なものとして捉えられる相手になった。

 30歳にしてイングランド屈指の名門クラブへの移籍を勝ち取った遠藤は、「自分たち(日本代表)もかなりいいチームになってきている自覚はあるし、個人個人がすごく高いパフォーマンスでヨーロッパの舞台で戦っているっていうところは自信を持っていい」と語り、風格すら漂わせて言葉をつなぐ。

「だからまた、ここでもう一回しっかりドイツを倒せれば、自分たちの力を証明できると思うし、チームも自信を持って、またその次に向かっていける。大事な一戦になると思います」

 これまでとはまったく異なる意識で臨むドイツ戦。結果はどうあれ、日本代表にとっては大きな前進を意味する一戦となるはずである。

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