三笘薫は「存在そのものが脅威」ポイントは左サイドの位置取り 「背番号7」はジョーカーからエースになった (2ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

【股抜きクロスでゴールを演出】

 伊東純也(スタッド・ランス)と菅原の縦関係でサイドを攻略する右に対し、左サイドは三笘の位置取りがポイントとなった。

「サイドバックが高い位置にいる分、僕が(前線に)残るほうが怖かったと思います。自分が下がってもよかったと思いますけど、(ポジションを)キープすることで、より脅威になったと思います」

 ボールが来なくても高い位置を維持し、その時を待ち受ける。ショートカウンター気味の攻撃が多かった日本にとって、奪った瞬間にスペースに飛び出す三笘の存在が何よりも際立っていた。

 後半に入っても、三笘の動きに陰りは見えなかった。63分、ここでも真っ先にスペースに飛び出すと、余裕を持った股抜きクロスで伊東のゴールをお膳立てする。

「最初、浮き球を考えましたけど、ちょっとクオリティ的に難しかった。股を開くかなというところで、狙いどおりでしたけど、(伊東が)冷静に決めてくれたのでよかったです」

 その後も攻撃だけではなく、守備でも献身的なプレーを続けた三笘は、タイムアップの笛が鳴るまでピッチに立ち続けた。攻撃陣では唯一のフル出場。1得点1アシストと目に見える結果を残した背番号7こそが、この日の主役だった。

 カタールワールドカップまでは、主にジョーカー役を担っていた三笘だが、リスタートを切った新生・森保ジャパンにおいて、明らかにその存在感が高まっている。

「クラブの結果を評価してくれての代表活動だと思うので、自分自身がやってきたことが(評価に)出ているのはうれしいです」

 一方で、あくまでまだ強化の過程であることも自覚している。

「親善試合のなかで徐々に結果は出ているのでうれしいですけど、もっと強い相手もいると思いますし、(9月に)ドイツ戦もありますので、そういうところでまた評価されてくると思います。まずはケガなくシーズンを終えられたことが一番ですし、しっかりと休んで、もうひとつクオリティを上げて、次の代表に入っていきたい」

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