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日本代表メンバーに10代の選手はゼロ「変わらなければいけない」のは日本ではなく、選ぶ側の森保一監督だ (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • 藤田真郷●撮影 photo by Fujita Masato

【W杯予選は事実上、無風区になった】

 突破の確率およそ9割。少なく見積もっても8割。予選落ちはまさかの大事件に相当するというなかで戦ってきた日本だが、8.5枠になれば状況は一変する。ハードルは思いきり下がる。実力と枠の関係を考えたとき、日本は世界で最も楽な、事実上の無風区に身を置いている。

 W杯本大会に向けた強化策も、それに呼応した中身に改革されなければならない。大きな発想の転換が不可欠である。その自覚や認識を3月のメンバー発表に続き、今回も見て取ることができなかった。3月は森保一監督にとって続投初戦だった。新たな門出を祝う一戦と位置づければ、それに相応しいメンバーで臨むことにギリギリ納得することができたが、今回はそうはいかない。

代表メンバーについて記者会見で答える森保一監督(右)と山本昌邦ナショナルチームダイレクター代表メンバーについて記者会見で答える森保一監督(右)と山本昌邦ナショナルチームダイレクターこの記事に関連する写真を見る 三笘、鎌田、久保、守田、遠藤、板倉、堂安ら、実力、実績ともに十分な選手を、前回に続き今回もすべて選ぶ必要はない。筆者はそれこそが新たな局面を迎えた代表強化策のあるべき姿だと固く信じている。W杯本大会まで丸3年以上あるいまから中心選手を決め、チームを作る必要などないのだ。

 この代表選手発表の記者会見では、現在アルゼンチンで行なわれているU-20W杯を引き合いに出した質問が出た。

「本日、日本が戦ったコロンビアにはA代表選手がいる。世界的にも各国で10代の代表選手が目につく。だが日本のU-20には代表に呼ばれた選手は誰もいない。問題ではないのか」

 森保一監督はこう答えた。

「日本が世界で戦っていくために変えていかなければならない点、変わっていかなければならない点だ」

 かたわらに座る、代表監督を評価する立場の山本昌邦ナショナルチームダイレクターもそれに応えるように、こう続けた。

「そういった意味では今回、よく川﨑(21歳)を選んだなと。よく見ている」

 10代の選手は、この会見が行なわれた8時間ほど前に終了したブライトン対マンチェスター・シティ戦のピッチにも4人、立っていた。そのなかのひとりであるファクンド・ブオナノッテ(ブライトンの右ウイング、18歳)は、すでにアルゼンチン代表歴がある選手だが、自国で開催されているU-20W杯には出場していない。世界にはそうした選手がゴロゴロいる。

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