U-22日本代表の田中聡が明かす「騙したわけではない」ベルギー移籍の真相とサッカー人生初の挫折
湘南ベルマーレから20歳のMF、田中聡の海外移籍が発表されたのは2022年8月のことだった。ほんの1、2カ月前に、当サイトでインタビュー取材をしたばかりだったから驚いた。
なぜなら、そのインタビューのなかで、田中はこんなことを話していたからだ。
「将来的な目標としては、海外に行きたいとか、A代表っていうのもありますけど、今の自分の実力には見合っていないのかなっていうことを感じているので。そういう目標に向かって、これからもっと頑張っていかないといけないって思っています」
ところが、ほどなくコルトレイク(ベルギー1部)への期限付き移籍が決定。おいおい、話が違うじゃないか――。思わずツッコミを入れたくなるような、サプライズ発表だった。
インタビューからわずかな期間で、いったい何があったのか。
ベルギーのコルトレイクでプレーする田中聡この記事に関連する写真を見る それから半年以上が経過した今年3月、U-22日本代表ヨーロッパ遠征を好機に、直接田中にたずねてみることにした。
昨年のインタビューではすっかり騙されたなあ――。
そう切り出すと、田中は「いやいや、違うんですよ」と苦笑した。
「移籍期限が切れる2、3日前に突然オファーがきたんです。それまで、代理人とも『もう(この夏の)オファーはないから、今年は湘南で頑張ろう』っていう話をしていたら、その1週間後くらいに、急に『おまえにオファーが来たぞ。どうする?』って」
田中に与えられた決断の猶予は、わずか1日半。インタビュー時に隠していたわけでもなければ、言ってはいけなかったわけでもなく、本当に突然の話だったのだ。
「めちゃくちゃ悩みましたね。いろんな人の話を聞いて、相談して、最後は自分の意思で行こうって決めました」
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