「日本に勝つこともできる」トルシエがベトナムで描くパリ五輪出場や2026年W杯出場への野望 (4ページ目)

  • 田村修一●取材・文 text by Tamura Shuichi
  • photo by REUTERS/AFLO

――改めて最初の合宿(U-23代表合宿)を終えて、今はどんな気持ちですか。

「正直、少し疲れている。集中的に働いたし、朝10時に始めた練習は、途中休憩を取りながら、夜は21時まで続いた。戦術練習を含め、さまざまな負荷を選手にかけた。私も膨大なエネルギーを消費した。

 だが、気分はとてもいい。選手には満足しているし、スタッフに対してもそうだ。ベトナムという国にも居心地のよさを感じている。メディアとの関係も悪くはない。彼らは私のやり方を尊重してくれている。私も彼らが理解しやすい情報を発信している。

 誰もが最善のコンディションで働ける、最高のバランスを得たと言える。だから、最初の一週間が過ぎて、私はとても満足している」

――あなた自身も新たなエネルギーを見出して、フレッシュになったのではないですか。

「そのとおりで、私にはそれが必要だった。もうすぐ68歳になるが、若いエネルギーをずっと持ち続けている。確かに膝の状態はいいとは言えず、左膝をかばって右膝の状態も悪くなったが、それもピッチにいる時には感じない。まるで20歳に戻ったかのように、トレーニングに集中している。

 エネルギーに関してはそうだが、年齢を重ねて経験と成熟を得た。ベトナムサッカーの進歩に貢献できると信じている」

(文中敬称略/おわり)

フィリップ・トルシエ
1955年3月21日生まれ。フランス出身。28歳で指導者に転身。フランス下部リーグのクラブなどで監督を務めたあと、アフリカ各国の代表チームで手腕を発揮。1998年フランスW杯では南アフリカ代表の監督を務める。その後、日本代表監督に就任。年代別代表チームも指揮して、U-20代表では1999年ワールドユース準優勝へ、U-23代表では2000年シドニー五輪ベスト8へと導く。その後、2002年日韓W杯では日本にW杯初勝利、初の決勝トーナメント進出という快挙をもたらした。

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