名古屋グランパスをリーグ制覇に導いた玉田圭司「W杯の悔しさをすべてJリーグにぶつけられた」 (2ページ目)

  • 佐藤俊●取材・文 text by Sato Shun
  • photo by J.LEAGUE/J.LEAGUE via Getty Images

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 出場機会を失った悔しさを抱えていたのは、玉田だけでない。中村俊や内田ら、サブ組に落ちた面々は皆、同じ思いを抱えていた。

 その思いを多少なりとも解消できたのは、日々の練習の時だ。紅白戦ではレギュラーチームを圧倒し、尖った気持ちが少しは和らいだ。

「紅白戦は楽しかったですし、(レギュラーチーム相手に)勝てたことで『自分らもまだイケるな』と思っていました」

 守備的なサッカーを実践し、チーム内でさまざまな思いが交錯するなかにあっても、日本は3戦目のデンマーク戦を勝利して、グループリーグを2位で通過。ラウンド16ではパラグアイと対戦した。

 試合はどちらも消極的な戦いに終始し、時間だけが過ぎていった。玉田は延長後半の開始から出場。岡田武史監督から「点をとってこい」と送り出された。

「試合は凡戦でしたね。どちらも点がとれないだろうな、という流れのままPK戦までいってしまった。結果的に点をとれていないので、何とも言えないですけど、僕ひとりで何とかというよりも、ベンチにいたメンバーたちのアイデアを生かして戦ったほうがいいかなと思っていました。

 PKはスタメンで出ていたメンバーが蹴る、というのが決まっていたけど、僕も蹴りたかったです」

 パラグアイは最初から"PK戦に持ち込めば"という粘り強さを見せて戦った。そして、その思惑どおりPK戦の末に日本を下した。

 玉田は、南米予選という修羅場を潜り抜けてきた経験の差が、最後のPK戦に出てしまったと思った。選手が悔し涙を流すなか、玉田も無表情のまま涙を流した。玉田がピッチで涙を流したのは、この時と、この半年後の2回だけになる。

「『終わったなぁ』と思いつつ、寂しさも感じました。(このW杯に挑んだチームは)勝つごとに一体感が生まれて、いいチームになった。(2004年の)アジアカップで優勝した時の雰囲気にすごく似ていました。試合も負けるべくして負けたわけじゃなく、PK戦なので、悔しさが余計に大きかったです」

 W杯における手応えは、前回大会のドイツW杯の時よりも大きかった。

「試合に出る時間は少なかったですけど、2006年のドイツW杯の時ほど世界のすごさは感じなかった。日本と世界との距離が縮まったのか、それともオランダとは対戦したけど、ブラジルとか世界のトップクラスと対戦しなかったからなのかわからないですけど、それでも日本は世界のベスト16レベルでは十分にやれるんじゃないかなと思いました」

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