サッカー日本代表、これからの注目点を福田正博が挙げる。テーマは「ビッグクラブのレギュラー」と「パリ五輪世代の突き上げ」 (4ページ目)

  • text by Tsugane Ichiro
  • photo by Fujita Masato

【パリ五輪世代の突き上げも必須】

 さらに、日本代表がカタールW杯で好成績を残せた要因としては、若い世代の引き上げがうまくハマったこともあげられる。森保監督が日本代表監督となったタイミングは、本田圭佑や岡崎慎司、香川真司などの北京五輪世代が主軸のチームからの世代交代が必須だった。そのため東京五輪代表監督を兼ねるメリットを最大限に生かしながら、若い世代の選手たちの成長を促してきた。

 そのため今回のカタールW杯を経験した選手たちの多くは、まだ20代半ば。4年後で三笘薫は29歳、冨安健洋や堂安律は28歳、今回の日本代表で最年少だった久保建英はパリ五輪世代でもあり、4年後でもまだ25歳だ。それだけに彼らには今回の経験を生かして次大会につなげてもらいたいと思っている。

 その一方で、今度は彼らを脅かす若手の突き上げがなければ、北京五輪世代に頼りきってしまった2010年南アフリカ大会以降の二の舞を踏むことになってしまうだろう。幸いパリ五輪世代には、東京五輪世代に負けず劣らずの逸材が揃っている。サッカーの世界で見れば、オリンピック世代であってもビッグクラブでバリバリ働くのは珍しいことではない。それだけにパリ五輪世代の選手たちには、次のワールドカップはサムライブルーの主軸になるという気概でこの4年間に臨んでもらいたい。

 そして、森保監督もそうした新陳代謝を取り入れながら、日本代表の選手層をさらに厚く、レベルの高いものへとしていくはずだ。ここから日本代表をどう強化していくのか、しっかり見届けていきたい。

福田正博 
ふくだ・まさひろ/1966年12月27日生まれ。神奈川県出身。中央大学卒業後、1989年に三菱(現浦和レッズ)に入団。Jリーグスタート時から浦和の中心選手として活躍した「ミスター・レッズ」。1995年に50試合で32ゴールを挙げ、日本人初のJリーグ得点王。Jリーグ通算228試合、93得点。日本代表では、45試合で9ゴールを記録。2002年に現役引退後、解説者として各種メディアで活動。2008~10年は浦和のコーチも務めている。

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