風間八宏がカタールW杯で改めて感じたサッカー日本代表の課題。「攻撃で相手を上回れないと、決勝トーナメントは難しい」 (2ページ目)

  • 中山 淳●取材・文 text by Nakayama Atsushi
  • photo by Sano Miki

【再現性のないサッカーになってしまった】

 確かに、今大会の日本の選手で目立った活躍を見せたのは、主にディフェンス陣だった。逆に攻撃陣は、なかなか本来持っている力を発揮するシーンは少なかった。

 その要因はどこにあったのか。風間氏は、今大会の日本の戦い方にあったと指摘する。

「それを端的に説明すれば、再現性のないサッカーになってしまったことです。これまでの積み上げができていたのかという点も含めて、そこはしっかりと検証しなければいけない部分だと思います。

 たとえば、ドイツ戦やスペイン戦を振り返った時、あのような試合がもう一度できるかと言うと、なかなか現実的には難しいかもしれない。それと今回の対戦は、日本の戦い方と相手の特徴がうまくマッチングした部分もあったと思います。

 ドイツは、ゲームを支配しましたが、最後のフィニッシュだけが決まらなかった。ストライカーが不在というのもあったと思いますし、ベストのスタメンを組んだ影響で、試合の途中で攻撃のパワーを上げるための駒がベンチに残っていませんでした。

 また、スペインは1試合で1000本のパスをつなぐことはできますが、相手のペナルティーエリアに進入する点に課題があって、それが日本の守備重視の戦いに苦しむことにつながりました。初戦のコスタリカ戦では1000本のパスで7得点を記録しましたが、あの試合自体が珍しく、もともと守られると苦戦する傾向がありました。

 逆に、結果は別として、負けたドイツやスペインのサッカーには再現性があります。ドイツが日本戦でシュート25本を記録できたのは、何度もシュートチャンスを作れるからであって、スペインが1000本以上のパスを記録できたのも、彼らが積み上げてきたサッカーがベースにあるからです」

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