中村憲剛と佐藤寿人が解説者としてW杯で得たこと。「一番うならされたのは山本昌邦さん。チュアメニがPKスポットに向かっている時...」 (2ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • photo by AFLO

 今回のワールドカップは準備期間が短かったというのもあって、戦術的なところが全面に出ていたと言うよりは、戦術面を補って余りある個の存在感と、国を背負って死力を尽くして戦うからこそ溢れ出てくるエモーショナルな側面が色濃く出ていたなと感じましたね。

寿人 この短期間でチーム状態の最大値を作ったチームが勝ち取った感じでしたよね。だから、このワールドカップの期間で最大値を出すことと、それまでの4年間の過程は、また別という考え方もあるのかなと。

憲剛 うん。分けざるを得ない場所にいるからね、日本は。強化の過程ではアジア勢と、本気ではない南米・アフリカ・北中米のチームとしかできないから、本気の世界と戦うワールドカップでは準備してきたものをなかなか出せないという歴史を繰り返せざるを得ない気がしています。

 強化の大半をその状態で過ごし、本大会を迎える1カ月で現実路線に変更してベスト16までは行けるけど、ベスト8にはまだ到達していない。代表として強化するのが難しくなっている以上、寿人が言ったように、もっと大きなところを改革していくしかないのかなと思いますね。

── なかなか答えが見つからないですね。

憲剛 答えが出ていれば、優勝してますから。だから面白いんですよ。日本をどう強くしていくか。そこを真剣に議論する人たちが増えれば増えるほど、目標に向かって進んでいくことができるんだと思います。

── メディアの人間として身が引き締まる想いです。おふたりも今回、解説者の立場でワールドカップに携わりましたが、経験してみていかがでしたか。

憲剛 今回はここ数年で引退した僕らの世代も、解説者として解説する姿をみなさんご覧になったと思います。先輩の解説者のみなさんも含めて、いろんな経験をしてきた人たちがサッカーをより細かく言語化して伝えていたので、解説していても、ほかの人の解説を聞くのも純粋に楽しんでいました。

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