中村憲剛と佐藤寿人がカタールW杯を語り尽くす。「あのクロアチアなら4バックで守れるんじゃないかと」 (3ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

憲剛 う〜ん、どう比較すればいいか......。たしかに守備に重きを置いたスタイル自体は同じだけど、あの時は4-5-1で、今回は5-4-1。システムは「ただの数字」かもしれないけど「されど数字」でもあると思っているし、ゲームを構成する重要な要素なので、現代サッカーにその違いは大きいかなと。

寿人 システムの違いですか。

憲剛 そう考えるとあの時は、世界も今ほどシステマティックな攻撃が浸透してはなかったし、鋭さもそこまでなかったのかなと思います。(中澤)佑二さんや闘莉王を中心とした日本の4バックの能力もあったとは思いますが、どちらかというと卓越した連係というよりも個の力で押し込むようなチームが多かったから、4バックで守れていたのかなと。

 そこから時代が進み、5レーンやポジショナルプレーなど、4バックを攻略するという戦い方がどの国にも標準的に装備されるようになりました。そうなると4枚では守りきれないシーンも増えてきたので、今回は5枚にせざるを得なかったのかなと。

「この12年間で世界のサッカーが進化したことで、日本の守備の形も変化せざるを得なかった」。当時と今回を比較すると、そういう言い方になるのかな。

寿人 世界の戦術的なアップロードに、日本はついていけなかったということですね。

憲剛 ドイツ戦の前半が象徴的でした。9月のヨーロッパ遠征で手応えを掴んだ4-2-3-1で臨んだけど、森保ジャパンを追ってきた人間として、立ち上げ以来、かなり圧倒された試合内容だったなと。あの時はNHKのスタジオにいたんだけど、ハーフタイムに解説者として何を言えばいいのか、かなり悩んだ。

 もちろん日本も進化したけど、世界はそれ以上の速いスピードで進化している。だから、この試合含め5枚で数を合わせて守らないといけなかったということだと思います。

寿人 今回は5枚で対応して、何とか守備のところの穴を最小限にして、交代カードを切りながら前に出ていく感じでしたけど、やっぱりベスト8だったり、その上まで行くような相手に対しては、4枚にしないと攻撃に出ていけないですよね。そこの迫力不足はすごく感じました。

3 / 4

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る