中村憲剛と佐藤寿人がカタールW杯を語り尽くす。「あのクロアチアなら4バックで守れるんじゃないかと」 (2ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

憲剛 そこに関しては優劣が明白だったよね。やっぱり強豪と呼ばれる国の選手たちは、ピタッと止められるし、狙ったところに蹴れるし、パススピードも速い。結局、日常をどのレベルでやっているかというのは、特にグループリーグでは顕著に表れていたと思います。

 たとえばイングランドの選手は、プレミアリーグの舞台でふだんから激しいプレッシャーのなかでプレーしている。ボールをちゃんとコントロールできないと奪われてしまうから、奪われないため、打開するためのボールコントロールのくくりだったり、技術に磨きをかけざるを得ない日常を過ごしているわけです。

 日本の選手もほとんどがヨーロッパでプレーしているけど、日本代表でプレーすると、そこの質は強豪国と比べると落ちてしまう。システムの問題もあるかもしれないけど、根本的な技術の質は、ベスト8以上に勝ち上がっていったチームと比べると、まだ差があったのは否めませんでした。

寿人 パスコースが前か、うしろかでも全然違いますよね。判断やプレースピードがワンテンポ遅れるだけで、対応されてしまう。そこは力のあるチームと日本との差はあったと思うし、それこそベスト16と、その先に行ける国との違いを感じましたね。

憲剛 ボールが止まれば、プレーを予測できるんですよね。「止める」「探す」「出す」では遅いんです。ダイレクトで崩すシーンもそこまで多くなかったので、相手からすれば、ずっと自分たちの想定内で守っているような感じだと思いますよ。そこは残念ながら「差があるな」と感じました。

 ただ、ドイツ戦の同点ゴールやスペイン戦の逆転ゴールは、関わった全員が正確にプレーすることで、動き出しも早くなり、相手の想定外のプレーで得点できました。できないわけではないので、そこの質を突き詰めたいところです。

寿人 ひとつ聞きたいのは、憲剛くんが出た2010年(南アフリカW杯)もベスト16まで行ったじゃないですか。今回も同じ守備に比重を置いた戦いでしたけど、当時との違いを感じましたか?

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