中村憲剛と佐藤寿人がカタールW杯を語り尽くす。「あのクロアチアなら4バックで守れるんじゃないかと」
中村憲剛×佐藤寿人
第13回「日本サッカー向上委員会」@前編
1980年生まれの中村憲剛と、1982年生まれの佐藤寿人。2020年シーズンかぎりでユニフォームを脱いだふたりのレジェンドは、現役時代から仲がいい。気の置けない関係だから、彼らが交わすトークは本音ばかりだ。ならば、ふたりに日本サッカーについて語り合ってもらえれば、もっといい未来が見えてくるのではないか。飾らない言葉が飛び交う「日本サッカー向上委員会」、第13回は日本中を熱狂の渦に巻き込んだカタールワールドカップについて語り尽くす。
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クロアチアの攻撃を跳ね返すキャプテン吉田麻也この記事に関連する写真を見る── 今回は「2022年総決算」と題し、2022年の日本サッカー界を総括していただきたいと思います。やはり一番の話題はカタールワールドカップになりますか?
寿人 僕は現地に行って、解説した5試合を含めて16試合スタジアムで見たんですよ。改めて感じたのは、当たり前のことを当たり前にやっているところは、クオリティが高いということ。
結局、行きつくところは「止める・蹴る」の技術になるんですよね。プレースピードもインテンシティも高くなっているなかで、プレッシャーをうまく回避したり、時間と空間をより有効に使うということを考えると、やっぱり"技術"なんですよ。
そういったものを一番持っているスペインが結果を出せなかったので、いまいちフォーカスされていないんですけど、現場で見ると、トップ・オブ・トップの選手たちは圧倒的にそこが違うなと感じました。それを憲剛くんがほかのメディアで書いていたのを見て、ああ同じだなと。現場に行っていない憲剛くんもそこに気づいたのは、さすがだなと思いましたね。
憲剛 フィジカル的な要素が、ゲームの優劣をつけるような展開になってきているからこそ、だよね。
寿人 どんな戦術的な試みであったり、捉え方をしても、結局、ボールを狙ったところに蹴られるかの積み重ね。それがひとつでも足りなければ、いくら戦術的に優れていても、形にはならない。
それを形にしているのは、オン・ザ・ボールの質なんですよね。『個の力』と言うと少し大雑把なくくりになってしまいますけど、やっぱり「いかにボールを思うように扱えるか」が大事なんですよ。当たり前のことなんですが。
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