谷口彰悟、初のW杯の舞台でスペイン相手に冷静に対処。どんな思いで試合に臨み、勝つために何を考えていたのか (3ページ目)
前半、失点したことと、最終ラインの吉田、板倉、谷口のセンターバック3人がイエローカードをもらったことは想定外だったが、ロッカールームでは「後半は前から行くぞ」と選手間で意志統一を図り、反撃に出る意識は高まっていた。
「もう一回仕切り直して、我慢強くやりながら『チャンスはあるぞ』っていうのはロッカーで話をしました。あとは(三笘)薫と(堂安)律が入るんで、律 はボールが持てるし、薫はできるだけ高い位置で仕事させようと思っていました。
そのふたりが頑張ってくれて、律のシュートが入ってからは、僕らの空気も、会場の空気も変わって、『これはいけるぞ』って感じになりましたね。
1-1になった時は、この勢いのまま流れを変えずにいこうという話をして、2-1になってからは、薫の位置とかを少し落ち着いた状態にして、ある程度ブロックを引いて、後ろで守って、という狙いを持ってプレーしていました」
3バックの守備が機能し、スペインの圧も前半ほどきつくなくなってきたなか、相手もフレッシュな選手を投入してきた。森保監督は右サイドをケアするために冨安を入れ、最終ラインはセンターバック4人が並ぶ未知の布陣となったが、特に慌てることはなかった。
「監督からはいつも、(どんなシステムにも対応できるように)準備をしておいてほしいという話があった。ふだんと違うポジションでプレーする人もいましたけど、みんな(そういう)準備をして入ってきていたし、与えられた役割をしっかりと果たしたと思います」
7分という長いロスタイムが終わって笛が鳴ると、谷口は大きくガッツポーズした。
谷口にとってW杯初出場の試合は、初戦のドイツ戦に続いて歴史的な勝利になった。強豪相手に緊張はしたが、焦らず、ビビらずにプレーできたのは、谷口自身のプレーヤーとしての経験もあるが、W杯経験者の声も大きかった。
「大会前にW杯を経験した人が、心構えとかを教えてくれたんです。W杯では交代選手ひとりでガラリと展開が変わるとか、1プレーで雰囲気が変わるとか、そういう大会がW杯だと。
そういうことを聞くと、簡単じゃない大会だなと。また、何かが起こりそうだなと思う反面、自分たちも何かを起こせる大会になるんじゃないか、というのをすごく感じました。そういう怖い部分とポジティブな部分の両面を意識しつつプレーできましたし、ほんと、勝ててよかったです(笑)」
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