日本代表スペイン戦勝利の立役者たちが語る、3人それぞれの「チームのための行動」 (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by JMPA

三笘薫が得点シーンで思ったこと

 後半に入って、スペインが攻撃の手を緩めたこともあったのだろう。プレスのやり方も強度も変え、やや敵陣内でプレーできるようになった。

「全員集中って伝えて、隙を作らないように、常にお互い声を掛け合って、みんな必死でした」

 守備面で際立った働きをした板倉滉は、そう振り返っている。ずっと攻撃を受けるディフェンスもラクではない。

「相手にボールを持たれることは想定したなか、苦しい時間があることもわかっていました。一発勝負は何があるかわからないので。(交代メンバーも含めて)全員が沸々としながらチャンスを待って、やってやるという選手が揃っているというか......」

 そして後半になり、交代出場の選手たちが試合を決めている。堂安律の左足の一撃はあまりに見事だった。反骨心のようなものを感じさせた。

 だが、それもチーム全員が連動したプレスから追い込み、GKのキックのボールがややズレたところを奪ったのが起点だ。

「後半、(味方が追いつき、逆転した時には)『よくやってくれた、絶対に(得点は)やらせないぞ』という気持ちでした」

 ボルシアMGで研鑽を積む板倉は、ときにバックラインからリスクをかけて飛び出し、スペインの選手を封じた。それだけの対応力があった。チームのために、という気力も充実していた。

「(ライン側で折り返したシーンは)1ミリでもラインにかかっていれば、って思っていました。感覚的には中にあったんで、ちょっと足が長くて良かったです(笑)」
 
 この日も切り札として投入された三笘薫は、決勝点のシーンをそう振り返った。右サイドからの堂安のクロスがゴール前を横切りながら流れて、ゴールラインを割るかと思われたが、三笘がライン上で折り返した。これを小学校時代からのチームメイトである田中碧がゴール前に詰めていて膝で押し込んだ。

「(田中)碧の得点も、なんかあるのかなって。引いて守るカウンターで、なんであいつがあそこにいたのか、それも見えない守備で頑張っていたご褒美だったのかって。(コスタリカ戦では)チームとして悔しさがあって、このままでは終われなかった。意地を見せたくて、コスタリカ戦は狡賢さとかも足りなかったので、今日はシミュレーションをしてでもセットプレーを取りにいこうと思っていました。そういうのやっていかないと、勝てない」

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