ムードメーカーの板倉滉はスペイン戦を前に色めき立つ。「次の1試合で帰るわけにはいかない!」 (2ページ目)

  • 了戒美子●取材・文 text by Ryokai Yoshiko
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

スペイン戦の戦い方はドイツ戦と同じ

 ムードメーカーのひとりでもある板倉滉も、取材対応では引き締まった表情を見せていた。基本的には勝たなくてはいけない状況でスペインと対戦する──。厳しい試合になるだろうが、サッカー選手冥利に尽きるというものでもある。

「いいですよね。この状況でスペインを倒していけたらね、さらに盛り上がるし、日本としても勢いがつくので、最高の状態でスペイン戦はできるんじゃないかなと思います」

 景気よくそう話す。戦い方については、ドイツ戦と同様引いて守ることと、守ったうえでチャンスを狙うこと、セットプレーは大切にしたいと話す。

「やっぱりゼロで抑えたいし、ちゃんと守っていれば間違いなくチャンスはあると思っているので。チャンスが来た時に失点していない、という状況を作りたいですね。スペイン相手なので、ブロックを引いて守る展開が多くなるとは思う。僕的にはセンターバックなので、サイドでやらせたくないなと」

 話から察するに、イチかバチか前から取りに行くようなことはせず、じっくり引いてチャンスをうかがうことになりそうだ。また、相手の強烈なプレスも警戒しているが、その分チャンスはあると見ている。

「セットした状態からのプレスも早いし、もちろん奪ったあとの切り替えもすごく早いので、逆に僕たちがいい状況で奪えた時はチャンスになるシーンもあるなと。奪ったあとは、特に大事に思い切ったプレーをしていかないといけないな、というのはあります」

 落ち着いて話すなか、少し色めき立ったのは「明日が(本大会)最後の試合になるかもしれないが、悔いは残したくないのでは?」という質問を受けた時だった。

「いやー、いやいやいや、次の試合を最後にできないですよ」

 質問の意図を汲みつつも、真っ向から否定した。

「思いきってやるだけだと思うし、勝てば 16強にいけるので、まずはポジティブに捉えていいと思うし、このタイミングでスペイン相手に試合ができるって、勝ち上ったあともすごくいい勢いにつながると思う」

 そう強気に言い放った。

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