日本代表の変貌にスペインの名指導者が憤慨。「選手編成も戦術変更もまったく理解できない」 (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by JMPA

代わってよかったのは守田英正だけ

 鎌田はコスタリカ戦では中盤でプレーすべきだった。トップに抜擢された上田綺世との間に連係が生まれず、トップ下では完全に孤立。自分自身でリズムを悪くしていた。守田英正と近い距離を作ったほうが、もっとボールを受けられるはずだったが、逆に守田は遠藤航と近すぎた」

 エチャリは無念そうに指摘した。彼自身、2009年から日本代表をスカウティングし、日本代表に「我々」という主語を使うほどなのだ。

「日本は前半終盤から3バックにしていたが、後半は選手交代ではっきりと3-4-2-1になった。システム変更を否定するつもりはないが、山根、相馬、伊藤洋輝などは苦戦していた。伊藤はこのレベルでプレーする選手としてのエネルギーを感じなかった。酒井、三笘、冨安健洋はどうしたのだ?(エチャリには選手のコンディションに関する情報などは入れていない)

 ターンオーバーと言うなら、遠藤や鎌田のほうが、コンディションは悪かったと言えるかもしれない。

 ドイツ戦の先発から代わってよかったのは、守田だけだった。ミスもあったが、プレーに強度も与えていた。基本的な技術が高く、個人的に好感を持てるMFだ。

 後半途中、三笘、伊東純也が入って、ようやくプレーが動き出す。鎌田も伊東、三笘のクロスに入るなど、得点の匂いが漂った。攻守のバランスが整ったように見えた。

 80分だった。日本は守備のインテンシティが弱く、満足にクリアもできない。そこを狙われてゴール正面でボールを奪われると、フリーで受けた選手にシュートを打たれてしまった。当たり損ねだっただけに、GK権田修一は防げるはずだったが、ジャンプのタイミングが悪く、弾き出せない。これが決勝点になってしまった。

 日本は終盤、三笘が2度にわたって好機を作っている。なぜ、これを始めからしなかったのか。結果論ではなく、それだけ前半の出来はひどかった。後半に入って、ペースを取り戻し、勝利できたかもしれないが、それでも腑に落ちない先発とシステム変更だったと言えるだろう。

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