日本代表のカナダ戦は収穫よりも不安が増した内容。目立ったのは遠藤航と守田英正の不在 (3ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • 藤田真郷●撮影 photo by Fujita Masato

 例えば、前半途中からプレスがハマらなくなった時でも、彼らがいれば一度リトリートするなりして、事態の改善を図れたのではないか。あるいは、ビルドアップがうまくいかなかった時には、周りの選手を動かしながら立ち位置を変え、パスがつながりやすくすることができたのではないか。そうした疑問が頭をもたげる。

 少なくとも、"ふたりまとめて"いなくなるとキツい、ということははっきりしただろう。

 4年前を振り返ると、2018年ロシア大会の直前、日本代表はパラグアイとの親善試合に4-2で勝利している。

 ワールドカップ開幕を2カ月後に控えたタイミングで監督交代に踏み切った日本代表は、それまで親善試合で3連敗とドン底状態。ところが、結果的に本番でベスト16進出を果たせたのは、この勝利をきっかけに潮目を変えたから、と言ってもいい。

 4日前の試合から10人を入れ替えた先発メンバーは、有り体に言って、サブ組中心と考えられていた顔ぶれだった。しかし、結果的にこの試合で好連係を披露したMF香川真司、MF乾貴士らが、本番でスタメンの座を奪い、その後の快進撃につなげた。

 この試合が本番の結果につながったのは、勝ったからというだけではなく、主力とサブの立場が入れ替わるほどに充実した内容を見せたからだ。

 本番直前の試合は、あくまでも準備。負けたらダメという試合ではない。

 だが、日本代表が目指しているのは、大会初戦のドイツ戦に勝つことではない。中3日の3試合を戦ってグループリーグを勝ち上がり、さらにその先の1試合に勝利することである。

 だとすれば、どうか。

 替えの利かない選手がいることは頼もしい反面、相応のリスクがはらむことも意味している。

 目指すはベスト8進出――。その期待と不安を天秤にかければ、前者に傾くような試合だったと言うのは難しい。

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