日本代表のカナダ戦は収穫よりも不安が増した内容。目立ったのは遠藤航と守田英正の不在 (2ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • 藤田真郷●撮影 photo by Fujita Masato

 この試合では、所属クラブでのケガで戦線離脱していたDF板倉滉、MF田中碧、FW浅野拓磨が、そろって先発出場。浅野は前半45分、板倉と田中は後半途中までプレーした。

 本番の出場が危ぶまれるヒザのケガを負っていた板倉は「最初はキツかったが、これ(カナダ戦)を経験できたのは大きい」と言い、こう語る。

「(ワールドカップ初戦の)ドイツ戦はもっと(コンディションが)フィットすると思う。もう怖さもないし、試合中はアドレナリンも出ているので問題ない。(試合が)終わった直後の感触はいい。ドイツ戦は間違いなくもっとよくなる」

 MF三笘薫が体調不良でチーム合流が遅れ、DF冨安健洋はカナダ戦出場を回避。MF遠藤航、MF守田英正にしても、カナダ戦には帯同せずにドーハに残って調整を続けているといった現状を考えれば、板倉、田中、浅野の復帰は好材料。ワールドカップ本番での「総力戦」を掲げる森保監督も、「ゲーム勘や状態を確かめないといけない選手が何人かいたが、強い相手とプレーしてもらうことができてよかった」と話しているとおりだ。

 加えて、FW上田綺世は相手を背負いながらボールキープできる強さを見せたし、MF相馬勇紀は左右を問わず高いアベレージでプレーできることを証明。この試合で得た収穫は間違いなくあった。

 とはいえ、本番前の準備という観点に立ち、結果ではなく内容に目を向けてもなお、少なからず不安要素が目についたこともまた否定はできない。

 森保監督が挙げた「戦術的な確認」で言えば、前からのプレスがハマらず、カナダにかいくぐられるシーンが目立つ一方で、逆にマイボール時のビルドアップではカナダのプレスに苦しみ、自陣でボールを失うシーンが少なくなかった。

 同じく「状況に応じたシステム変更」においても、4-2-3-1から3-4-2-1に変更したあと、確かに「チームとしていい距離感で攻撃も守備もできるようになった」(森保監督)が、最終的には両チームが互いに速い攻守の切り替えを繰り返すなかでピンチを招き、PKを与えて失点。本番で使うオプションとしては不安が残る。

 むしろ、「戦術的な確認」や「状況に応じたシステム変更」を考える時、この試合で目立ったのは、遠藤と守田の不在ではなかっただろうか。

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