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日本代表の韓国戦完勝も喜べない。森保一監督が横浜F・マリノスに学ぶべきこと (3ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • 藤田真郷●撮影 photo by Fujita Masato

旧態依然とした起用法

「先を見越して戦うことはまだできない。世界の中で日本が勝ち上がろうとした時、1戦1戦フルで戦いながら次に向かっていくことが現実的である」

 絶望的なコメントとはこのことである。それでよく目標を問われたとき、W杯ベスト8と答えたものだ。どんな方法論で準々決勝までに辿り着こうと考えているのか。

 限界はグループリーグの3戦目に訪れる。それ以降は、まさに当たって砕けろと言わんばかりの精神性を最大の拠りどころに戦うことになる。それが日本にとって現実的な戦いだと考えていない筆者には、森保監督続投が確定的になった韓国戦の完勝劇は、100%喜べない結果と言わざるを得ないのだ。

 E-1選手権は韓国戦が最終戦だった。しかし4戦目以降があるトーナメントの大会だったら森保監督は次戦に、どんなスタメンを組むつもりだったのか。Aで戦うことは体力的に難しい。戦力ダウン必至のBで戦うこともできない。AとB、さらにはCを加えた融合チームでもコンビネーション的に見てあまりにも冒険的だ。

 招集した26人を森保監督がどうローテーションして使い回すか。筆者にとってそれこそが今大会の最大の見どころで、優勝できるか否かよりはるかに重要なポイントだった。結果はもちろん不合格。にもかかわらず続投がほぼ確定した。だから喜べないのである。

 今回、Aチームの中核を成したのは、横浜F・マリノスの選手たちだった。同チームがJリーグで首位を行く原因を考えたとき、一番にくるのはケヴィン・マスカット監督の采配だ。登録選手を毎試合、少しずつローテーションさせながら循環させるその起用術にある。

 森保監督が横浜FMの選手を大量に使い、同チームに似たスタイルで韓国に完勝する様を見ていると、ならば今季、2試合続けて同じスタメンで戦ったことがないマスカットの選手起用法もマネるべきだとアドバイスしたくなる。少しずつスタメンをいじりながら次の試合に向かうことの重要性、および意義や利点について、続投が確定的になった森保監督は学ばなくてはならない。旧態依然とした日本的と言いたくなるその起用法を改めない限り、3戦目以降のスタメンは見えてこないのである。

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