森保一監督はE-1選手権で何がしたいのか。選手のやる気を搾取するだけで終わらないでほしい
E-1選手権第2戦。日本は中国と対戦し、0-0の引き分けに終わった。
森保一監督は言う。
「結果的に勝てなかったところは反省しないといけないが、プレーした選手は準備段階から今日の試合でできる最大限のチャレンジをしてくれた。それは評価したい」
「勝った負けたの結果のところ以外では、前半のボールの動かし方は1戦目よりチームとして意思統一してできていた」
「課題として反省しないといけないのは最後どう決めるかだが、そこに関してはサッカーではあり得る展開」
結果が物足りないものだったとしても、こうしたコメントには基本的に同意する。特段の疑問は感じないし、反論もない。
実質的にはA代表とは言い難い、若手中心の中国代表から1点も奪えなかったのは残念だったが、確かに「サッカーではあり得る展開」だ。
初戦の香港戦も含め、急造チームながら即興でそれなりの連係を確立し、選手たちはよく戦っている。彼らが即海外組を脅かす存在になれるかどうかは別にして、その点については、指揮官の言うように評価していい。
言葉を選ばずに言えば、"やっつけ"で臨んでいる大会にもかかわらず、選手たちは驚くほどモチベーション高く、試合に臨んでくれている。
しかし、だからこそ気になることもある。
森保監督が、この大会の目的をどう定め、それをどこまで本気で考えているのか、という点である。
そんな疑念を大きく膨らませることになったのは、中国戦でMF森島司の不可解な起用方法があったからだ。
所属するサンフレッチェ広島では、1トップ下に位置する2シャドーの一角を担う森島。数字で表すと、そのポジションは3-4−「2」−1の「2」の左だ。
ところが、この試合で任されたポジションは、4-2-「3」−1の「3」の左。立ち位置にしても、役割にしても大きく異なるものだった。
もちろん、所属クラブと代表でのポジションが違うから一概にダメ、というわけではない。採用するフォーメーションや他の選手の特長に応じてポジションが変わることは、当然起こり得るだろう。
ただ、そこで重要なのは、任せるポジションがその選手の特長に適したものでなければいけないということだ。
それを考えると、中国戦での森島の左MF起用には、甚だ疑問が残った。
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