「遠藤航が"動きすぎている"」。スペインの名指導者が見抜いた日本代表の弱点
「0-3という結果は、"やや誇張がある"と言っていい。両チームの間にそれほどの差はなかった。失点はどれも単純な個人のミスだった。0-0の前半だけで言えば、ボクシングのように判定があるなら日本の"優勢"だった。2度の決定機を作り、オフサイドで取り消されたが、南野拓実はすばらしい技術でネットを揺らした」
スペインの目利き、ミケル・エチャリはそう言って、日本が0-3で完敗したチュニジア戦を振り返っている。
エチャリはレアル・ソシエダ、エイバル、アラベスなどで20年以上にわたって、強化部長、育成部長、監督などを務めてきた。その経験を生かした日本代表に対する指摘は、ことごとく当たっている。南アフリカW杯ではアンカー起用を主張、ブラジルW杯では過剰な自信と攻撃偏重に警告、そしてロシアW杯では世間の評とは逆に、「長谷部誠を中心にバランスが取れた布陣」に期待を込めた。
「チュニジア戦に関して言えば、これまで危惧してきた不安が的中した格好になった」
そう語るエチャリの言葉に耳を傾けるべきだろう。
ミケル・エチャリから厳しい指摘を受けたチュニジア戦の遠藤航この記事に関連する写真を見る「日本は今や基本システムになった4-3-3を採用している。チュニジアは4-1-4-1とも、4-3-3とも言えたが、ソリッドで組織的な守備と縦に速いカウンター攻撃を特徴とし、戦術的色合いがよく似た同士のゲームになった。
序盤から目についた点がふたつある。
ひとつは攻撃陣のコンビネーションの良さだろう。インサイドハーフである原口元気、鎌田大地のふたりは、ポジションを交換しながらチームの車輪としてバランスをとっている。おかげで、右サイドの伊東純也は縦への推進力を用い、クロスからチャンスを作り出した。浅野拓磨が届かず、鎌田が押し込むだけというチャンスを外してしまったが。
もうひとつは、センターバックに入った板倉滉のプレーの安定感だろう。自ら仕掛けた守備を見せた時、吉田麻也、長友佑都がカバーに入る連係もよかった。自分の守りへの確信と周りを使う手際のよさには高い評価を与えられる。空中戦でも十分な強さを見せた。また、攻め上がって南野に出した背後へのパスは卓抜で、(オフサイドでゴールは取り消しになったが)ハイライトのひとつになるプレーだった。
1 / 3