日本代表における三笘薫の序列はサブのままでいいのか。課題は本人も自覚する「連係の乏しさ」 (3ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 藤田真郷●撮影 photo by Fujita Masato

 しかし「崩し」という武器があることで、パラグアイ戦、ガーナ戦の日本は安定していた。軍の編成にたとえるなら、三笘は騎兵のようなもので、機動力に優れ、敵に壊滅的打撃を与える。受け身の歩兵に回った時に、弱さが出るのは当然だ。

 世界最高の選手であるリオネル・メッシは、バルセロナという「攻め勝つプログラム」のクラブでコンビネーションを用いてプレーし、栄華を極めた。アルゼンチン代表では依存度だけが大きくなって、期待されたプレーは見せられていない。多くの選択肢があることで、彼は「怪物」に変身できる。

 もちろん、メッシとの比較は極端だし、日本はバルサでもアルゼンチンでもない。守るべき時間があるのは当然である。弱者の兵法としては、むしろチュニジアのようなソリッドでスピードもパワーもあるサッカーが理想だろう。

「僕らのレベルでは、やっぱりいい守備からいい攻撃、というのは大事で、カウンターでチャンスを作り出すと、それでフィーリングがよくなり、ポゼッションで崩す展開も生まれる」

 ELで優勝した鎌田の言葉は、何より説得力がある。
 
 しかし、三笘は強力な武器になる。一角を突き崩す騎兵として、どう用いるか。正解を得ることができれば、味方に翼を与えるはずだ。
 

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