日本代表の懸案だった「ポスト長友」に新星登場。伊藤洋輝はW杯本番でも使えるか (3ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • 牛島寿人●撮影 photo by Ushijima Hisato

 だが、伊藤が日本代表で左サイドバックに定着するためには、越えるべきハードルはまだまだ多い。

 というのも、所属クラブでの定位置が異なる以上、伊藤が日常のリーグ戦でサイドバックの機微に触れることは難しく、だとすれば、日本代表で何とかするしかないが、今年11月に開幕するワールドカップまでに日本代表が行なえる試合数は、6月の残り3試合を含めても5試合程度。伊藤自身が課題として口にした「コミュニケーションをとって、チームの一員として完成度を高める」には、十分な数とは言い難いからだ。

 4バックの左サイドバックは、3バックの左DFに比べ、より高い機動力が求められ、守備で言えば、スピードのあるウイングタイプの選手ともろにマッチアップする機会も多くなる。特にワールドカップ本番で、ドイツ、スペインという超難敵との対戦を控える日本代表にとっては、サイドでの攻防が勝負のカギを握るが、先手を打って高い位置をとるにせよ、引いて構えて対応するにせよ、不慣れな選手には任せにくい。

 晴れの代表デビュー戦で、伊藤が今後への大きな可能性を示したことは間違いないとしても、だからといって、これで左サイドバックは決まりと言うには、あまりに不確定要素が多すぎる。

 懸案だったポジションに突如現れた新星をどう生かすのか。今後の指揮官の采配に注目である。

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