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サッカー日本代表の豪州戦で攻守、采配の課題を検証。W杯本番では突かれることばかり (3ページ目)

  • 中山 淳●文 text by Nakayama Atsushi
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

初めて見せたコンパクトさを失った状態

 安定した守備を考える時、間延びした状態は、広いミッドフィールドを3人でカバーする4-3-3は適していない。しかも、簡単に前進できたこの試合の前半は、山根視来と長友の両SBも高い位置でプレーしたため、敵陣でボールをロストした直後は相手の2トップに対して板倉滉と吉田の2枚による対応を迫られた。

 前節のサウジアラビア戦では、敵陣深いエリアでは前からのプレス、ミドルゾーンとディフェンスゾーンでは4-5-1のブロックを作って守るという、2つの方法を使い分けながら守備を安定化できていた日本だが、それはコンパクトな守備陣形が大前提。

 今回の問題は、4-3-3に布陣変更してから初めて露呈した事象あり、コンパクトさを失った状態だと、パス1本で相手に多くのゴールチャンスを与えてしまうことの証明にもなった。

 さらに言えば、それを目の当たりにしていた指揮官が、その問題を放置していたことにも疑問が残る。少なくとも、左サイドを破られた2度目の35分のピンチのあとに、ベンチから何らかの修正指示はあって然るべきだった。これも、W杯本番までに改善すべき課題だろう。

 救いは、吉田が「後半はそこを意識して修正したつもりです」と振り返ったように、長友が高い位置をとらずに修正を図ったことだった。実際、64分に退くまで長友が背後を突かれたシーンは1度もなく、立ち上がり47分の直接FKと48分の中央からのミドルで10番がシュートを狙った以外、オーストラリアはゴールチャンスを作れずに終わっている。

 結局、後半の修正もあり、この試合でもクリーンシートを達成した日本が危なげなく勝利したように見えるが、出入りの激しい展開のなかで何度かピンチにさらされた前半は、いくつかの改善点が存在していたことは押さえておきたい。

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