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サッカー日本代表の豪州戦で攻守、采配の課題を検証。W杯本番では突かれることばかり (4ページ目)

  • 中山 淳●文 text by Nakayama Atsushi
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

ベンチワークは合っていたか

 そしてもうひとつ、試合終盤のベンチワークにも気になる点があった。

 この試合は、最終節でベトナムとホームで戦う日本にとって、負けないことが最低ノルマだった。もちろん勝利できればそれ以上のことはないが、0-0のまま時計の針が進むなかで森保一監督が切った交代カードには、少しばかり議論の余地を残した。

 問題は終了間際の84分、体力消耗気味の田中に代えて原口元気を、南野に代えて三笘をピッチに送り込んだ選手交代だ。原口は、攻守両面で中盤にエネルギーを注入する意図が明確だが、三笘の起用からは、あくまでも勝利を目指すという意図がうかがえた。

 逆に、最低ノルマの勝ち点1を確実にしたいなら、左ウイングに旗手怜央や柴崎岳を起用し、もう一度チーム全体に守備意識を高めさせる選択をして然るべきだが、森保監督はそれをしなかった。だとすれば、三笘はもっと早い時間帯で起用すべきではなかったか。

 もちろん、森保監督のなかでは三笘の守備力が向上しているという判断があったのかもしれないが、少なくとも、その後の日本が攻撃的に戦っていたことを見ても、ベンチが勝ちにいくメッセージを送ったと受け止めるのが妥当だろう。

 幸い、三笘が出場約10分間で2ゴールを決めるという神がかり的な仕事をやってのけたので議論の対象にはならなかったが、万が一84分以降に失点を喫していたら、間違いなく中途半端な采配としてクローズアップされただろう。

 W杯本大会では、リスクをかけて勝ち点3をとりにいくのか、勝ち点1を確保したいのか、刻一刻と変わる戦況のなかでシビアな采配が要求される。誰もが理解できるメッセージつきの選手交代が肝になる。少なくとも、ピッチ上の選手たちにその意図が明確に伝わるベンチワークも、今後の注目ポイントになりそうだ。

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