三笘薫の活躍は森保一監督の采配的中と呼べるものなのか。W杯へ向けた日本代表の課題 (3ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

与えられたのは6分強だったという現実

 代表デビューも昨年11月。W杯最終予選の6戦目に当たるオマーン戦(アウェー)という遅さだった。その後半36分、貴重な決勝ゴールを叩き出したのは伊東だったが、左サイドをドリブルで切り崩し、アシスト役を演じたのは、後半から左ウイングとして出場した三笘だった。

 このワンプレーがなければ、日本はこのオーストラリア戦を何倍もの緊張感で臨まなければならなかっただろう。まさに今回の予選を語るうえで欠かせないビッグプレーを、それまで森保監督から冷たい扱いを受けてきた三笘が演じる姿は、どこか皮肉に見えた。

 今年1月に行なわれた続く7戦、8戦目(中国戦、サウジアラビア戦)ではケガで招集外となった三笘だが、9戦目にあたるこのオーストラリア戦は、オマーン戦での活躍を評価すれば、先発を飾っても不思議ではなかった。しかし、森保監督は甘くなかった。三笘が南野と交代でピッチに登場したのは後半39分。くり返すが、森保監督は6分プラスアルファ(アディショナルタイム)しか、三笘に時間を与えなかった。

 そこから三笘は値千金の2ゴールを奪ったわけだが、これをメンバー交代が的中したとするのは、読解力に乏しい見立てだと言いたくなる。もし、今回の予選の頭から三笘の力をフル活用していれば、日本はここまで苦戦しただろうか。

 森保監督はこれから三笘とどう向き合うか。言い換えるならば、3FWをいかにきれいに並べるか。サイド攻撃をどう充実させるか。W杯本大会に向け、日本の浮沈のカギはここにある。

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