守備的展開でサウジアラビアをハメた森保ジャパンの4-3-3。先行逃げ切りを続けられるか (3ページ目)

  • 中山 淳●取材・文 text by Nakayama Atsushi
  • 藤田真郷●撮影 photo by Fujita Masato

【先行逃げ切り】

 2点をリードした日本は、ここから再び4-5-1の陣形でブロックを形成した。サウジアラビアにボールを持たせても、ミドルゾーン、ディフェンスゾーンでプレッシャーをかけてボールを奪い、隙あらばカウンターで追加点を狙う守備に切り替えた。森保監督が「選手たちが状況を見て、何をすべきかコミュニケーションをとって使い分けてくれていた」と振り返った通りのゲーム運びだ。

 後半の3分の2にあたる75分までに、エルベ・ルナール監督は残り4枚の交代カードを2度に分けて切り、反撃を試みるが、その間に記録したシュートは68分の1本のみ。チャンスらしいチャンスを作れなかった点でも、日本の守備方法の選択は妥当だった。

 最後の15分もサウジアラビアが攻める時間が続いたが、より前がかりになった分、日本のカウンターが威力を発揮。特にクロス供給では、後半11本のうち80分以降に7本のクロスを供給。残り4本はすべて後半立ち上がりの5分間で記録したものだったことを見ても、後半の日本がどのようなゲーム運びをしたのかがよくわかる。

 ちなみに、後半に記録した敵陣での縦パスは6本で、そのうち3本が80分以降のもの。そのほか2本が後半開始10分の時間帯、残り1本はミドルゾーンで遠藤が伊東に入れた61分の縦パスだった。本数的にも、中国戦の後半に記録した10本より下回っている。

 後半の日本がピンチに陥った唯一の場面は、終了間際の40分。左サイドで68分から途中出場した左SB中山雄太の背後から、18番がボックス内右に進入しパスを受けてマイナスのクロスをニアに入れたシーンだ。

 このクロスは守田がブロックしてCKとなったが、この時PKスポット付近には10番がフリーでいた。ボールがわたっていれば、失点を喫していた可能性は高かった。

 逆に、日本は82分に数少ない連動した攻撃を披露している。中盤でボールを回収したあと、伊東、守田、前田大然と3本のダイレクトパスで右に展開し、オーバーラップした酒井がクロス。ゴール前で浅野拓磨が合わせた攻撃だ。シュートはバーを大きく越えたが、ワンタッチプレー5本が続いた攻撃は、4-3-3に布陣変更してから初めてのことだった。

3 / 4

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る