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守備的展開でサウジアラビアをハメた森保ジャパンの4-3-3。先行逃げ切りを続けられるか (2ページ目)

  • 中山 淳●取材・文 text by Nakayama Atsushi
  • 藤田真郷●撮影 photo by Fujita Masato

【カウンターという明確な意図】

 そして相手の主力ボランチの8番が負傷交代したあとから先制するまでの約15分は、意気消沈気味の相手に対して「高い位置からプレッシャーをかける」守備方法で日本が敵陣でボールを支配した。

 ただし、32分の日本の先制ゴールは、日本陣内における相手のミスから生まれたものだった。

 きっかけは、右サイドで得たスローインを、サウジアラビアの右サイドバック(SB)の2番が遠藤航に投げてしまうケアレスミスを犯したこと。ボールをもらった遠藤を起点に発動されたそのロングカウンターから、右サイドのスペースを伊東が自慢のスピードで突破し、最後に南野が仕留めた。サイドのスペースを突くという点では、まさに狙い通りと言える。

 そして先制後の前半残り約15分は、反撃に転じたサウジアラビアがボールを握り、再び日本がミドルゾーン、ディフェンスゾーンでブロックを形成。そのなか35分に自陣右サイドで伊東と酒井が破られ、13番のクロス供給から決定機を与えてしまう。幸いボールがフリーでジャンプした23番の頭上を越えたために救われたが、ゴール前の状況からすると、日本が失点していてもおかしくないシーンだった。

 前半を振り返ると、日本は1点をリードしたものの、内容はほぼ互角。ボール支配率では43%対57%とサウジアラビアに軍配が上がり、シュート数では3本対1本で日本が上回った。ちなみに日本のゴール以外のシュートは、40分に発動したショートカウンターから放った伊東のシュートと、遠藤のミドルシュートの2本だ。

 そのほか、敵陣でのくさびの縦パスは3本で、8本を記録したクロス供給で成功したのは先制ゴールにつながる伊東の1本のみ。長友佑都が4本のクロスを供給したこと以外、攻撃面は中国戦と似ていた。しかし、相手にボールを握られる時間が長かった分、カウンターという明確な意図が効果を発揮したため、停滞感を感じさせなかったとも見られる。

 迎えた後半最初の15分は、この試合で最も拮抗した攻防が続いた。この時間帯が勝敗の分かれ目になったと言えるだろう。

 最初に主導権を握ったのは日本。48分、枠を外したものの、酒井宏樹のクロスを南野がボレーで狙った攻撃をきっかけにリズムをつかむと、日本は前からプレッシャーをかけてボールを支配した。

 50分、サウジアラビアは自陣ボックス内で回収したボールを、8番の負傷交代によって途中出場していた7番が、なぜか守田英正のプレスバックを浴びながら顔も上げずに伊東と遠藤が立つ方向に向かってドリブル突破を試みる。この意図不明なプレーを日本が見逃さず、遠藤が奪取したところを起点にショートカウンターを発動。左に展開したあと、長友のクロスを受けた伊東が目の覚めるようなシュートをネットに突き刺した。

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