日本代表の改善点をスペインの名指導者が指摘。「受け身に回りすぎている」「不安定さの象徴」

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 岸本勉●写真 photo by Kishimoto Tsutomu

「中国戦も含めて、個人としては伊東純也のパフォーマンスが目を引いた。ホーム2試合連続得点、予選4試合連続得点というだけでなく、サウジアラビア戦はアシストの精度も見事だった。過去2試合、4得点すべてに関わっており、日本の勝利を牽引したと言えるだろう」

 スペインで数々の選手、監督を育ててきたミケル・エチャリは、そう言って日本が2-0で勝利したサウジアラビア戦を振り返っている。

 エチャリは監督養成学校の教授として、ポジショナルプレーをヨーロッパで広めたひとりである。数的有利よりも、ポジション的有利の本質を何十年も前から説いてきた。名将ジョゼップ・グアルディオラ(マンチェスター・シティ)の師匠であるフアン・マヌエル・リージョ(元ヴィッセル神戸監督)が、10代の頃から指南を受けてきた人物である。

 サッカーの仕組みを知るエチャリは、サウジアラビア戦の日本をどう分析したのか?

すべての得点に絡み、守備面での貢献も大きかった伊東純也すべての得点に絡み、守備面での貢献も大きかった伊東純也この記事に関連する写真を見る「日本は4-3-3というよりは、4-5-1に近い布陣で挑んでいる。平たく言えば受け身で、守る陣形をしっかりと作った。中央に人を集めながら、サイドの選手も防御の厚みを加えていた。

 一方のサウジアラビアはサイドバックが高い位置を取って、日本を押し込んでいる。攻勢だった証拠として、コーナーキックから何度もゴールを脅かした。トップ下のモハメド・カンノが攻撃のキーマンで、常にギャップを取ってボールを受け、リズムを作った。

 日本は攻撃が中央からに固執しすぎ、ノッキングしていた。サイドを起点に、スピードとテクニックを生かした突破に活路を見出すべきだった。そこに、日本サッカーのストロングポイントというのもあるし、サウジアラビアのサイドは脆さを抱えていた。日本はサイドに人材を擁しているだけに、彼らがポジションを変え、相手を動かすことで、もっと優位に戦えたはずだ。

 前半32分の日本の先制点の場面もサイドを糸口にしていた。酒井宏樹の縦パスに伊東が右サイドで走り勝って、すばらしいパスを折り返し。大迫勇也がそれをスルー。後ろから入った南野拓実がひとりを外した後、左足を振り切ってゴールネットを揺らした。

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