森保ジャパン2連勝の立役者となった「E-BOX」。そのプラス効果で露わになった欠落点
かつてのJリーグで、「N-BOX」なる斬新なシステムが話題になったことがある。
黄金時代のジュビロ磐田が採用した独自システムで、MFをサイドに開かせず、サイコロの5の目のような配置で中盤の5人を並べるものだ。技術に優れたMFの特長を生かし、彼らを近い距離で連係させようという狙いがあった。
なかでもバランサーとして重要な役割を担っていたのが、ボックスの中央に配された名波浩。そこで名波のイニシャル、Nを冠して「N-BOX」と称されたわけだ。
これにならえば、現在の日本代表のシステムは、さしずめ「E-BOX」ということにでもなるだろうか。
日本はワールドカップ最終予選で、サウジアラビアに2-0と勝利。日本はこれで5連勝とし、通算成績も6勝2敗の勝ち点18に伸ばした。グループ2位をキープしたばかりか、同3位のオーストラリアとの勝ち点差を3に広げ、本大会出場へ一歩前進となった。
しかも、今回の中国戦、サウジアラビア戦の2連戦は、この最終予選では初めてとなる複数得点での連勝。2試合連続で2点とれたことを、ことさら喜ぶのは少々寂しい気もするが、最初の3戦を1勝2敗の負け越しでスタートしたことを考えれば、状況は大きく上向いたと言っていいだろう。
その「初の複数得点による2連勝」を支えていたのが、中央の守備である。
センターバックの谷口彰悟、板倉滉と、インサイドハーフの田中碧、守田英正の4人が形成するボックスの真ん中に、遠藤航がアンカーとして鎮座する「E-BOX」は、かなり効果的に機能していた。
「航くんがどっしり構えてくれるからやりやすい。(MFの)3人の関係性は日を追うごとによくなっている」(守田)
「前の(MF3人の)選手があれだけやってくれるので助けてもらっている」(板倉)
選手の声からもわかるように、時に相手選手を厳しくマークし、時に空いたスペースを埋める。「E-BOX」の5人が状況に応じた作業をバランスよくこなすことで、日本の守備は大きく崩されることなく強固に保たれていた。何が何でも高い位置からプレッシャーをかけるのではなく、時間帯によっては相手を引き込むような守りができていたのも、彼らがうまく連係しあっていたからこそだろう。
1 / 3