日本代表にスペインの名指導者が感じたプレー精度の不安。「セットプレーもバリエーションを増やすべき」
「遠藤航を中心に、田中碧、守田英正で構成した中盤のトライアングルはよく機能していた。彼らとディフェンスライン、アタックラインが近い距離を保ち、ボールを動かし、プレーのリズムを作っていたと言える。特に前半は完全にゲームを支配していた」
これまで多くの選手の育成に関わってきたスペインの慧眼、ミケル・エチャリはそう言って、カタールW杯アジア最終予選、日本が中国に2-0と勝利した試合を振り返っている。
エチャリは2009年からSportivaに日本代表のスカウティングリポートを記してきた。あくまで落ち着いた分析が特徴だが、率直に苦言を呈した時、それらは多くの場合、的中している。たとえば、岡田ジャパンの不備を見抜いて事前にアンカーシステム採用を推奨し、ザックジャパンに対しては「攻撃が前がかりになりすぎる」と攻守のバランスの悪さを戒めた。
そのエチャリは今回の中国戦に及第点を与えつつ、不安な点も指摘している。
前半は際立ったポジショニングでチームのバランスを取っていた遠藤航「立ち上がりの日本はいくらか慎重すぎたか。攻守のバランスを重んじるあまり、攻撃でのプレースピードが鈍かった。中国がマンマークに近い守備をしてきたこともあったかもしれない。スローインから伊東純也が抜け出し、酒井宏樹のミドルを拾った大迫勇也がシュートを狙うシーンは作ったが、脅威を与えることはできなかった。
前半のベストプレーヤーと言える活躍をしたのは遠藤だろう。際立ったポジショニングで、プレーの"発信地"となっていた。彼を中心に田中、守田が絡み、ディフェンス、アタックラインが機能していった。そのバランスによって攻守を安定させ、前半は敵をほとんど陣内に寄せつけず、試合を支配しながら徐々にチャンスの数も増やしていった。
13分、伊東が右サイドを抜け出し、折り返しをディフェンスが振り上げた手に当て、ハンドでPKを得た。これを大迫が冷静に蹴り込んでいる。
前半で日本は1-0とリードした。南野拓実、大迫などのコンビネーションは悪くなかったし、個人の力量も見せている。ほぼ、相手にサッカーをさせていない。
1 / 3