加地亮がサッカー人生で一番悔いが残るW杯。「前線と後ろの人でバラつきがあった」 (2ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • photo by Hitoshi Mochizuki/AFLO

 わずか1年前に遡れば、日本はアジアカップ王者として臨んだコンフェデレーションズカップで、世界を驚かせる戦いを見せていた。

「メキシコには(1-2で)負けましたけど、ユーロチャンピオンのギリシャとは互角に戦って(1-0で)勝つことができ、ブラジルとは(2-2の)引き分け。

 そこでプレーしてみて、世界を相手にまた違う戦いができるなっていう感触があったので、その3試合はすごく印象に残っています」

 ところが、1年後のワールドカップでは1分け2敗と、1勝もできずにグループリーグ敗退。コンフェデで得た手応えが、皮肉にもワールドカップでの後悔が一層大きなものにした。

「選手の気持ちも動くし、チームって常に動いているものなんですよね。試合ごとに安定したパフォーマンスを出すって、やっぱり難しい。いろんなシチュエーションがあるなかで、どうやって守備をするのか、どうやって攻撃するのかっていうところの歯車がちょっとずつズレていったのかなという感じはしました」

 チームは生き物――。図らずも、そんなことを思い知らされる結果となった。

「サッカー人生で一番悔いが残っていることは、と聞かれたら、僕はワールドカップだけですね。あれ以外は全然悔いがないんですけど、あのワールドカップだけは......ね、すごく悔いが残る大会でした」

 とはいえ、自身が経験した日本代表での活動すべてを振り返れば、そこでは「成長させてもらった」と、加地は前向きな言葉を口にする。

 当時日本代表を率いていたジーコ監督から「緊張のあまり、僕が覚えてないだけかもしれないですけど(苦笑)」、アドバイスらしき言葉を直接かけられたことはほとんどない。だが、たったひとつ、はっきりと記憶に残る"神様からの言葉"があるという。

 クロスはパスだ。そういうイメージを持ちなさい――。

「それまで僕はそういう感覚がなくて、クロスはクロス。ピンポイントで合わせようというよりは、DFとGKの間に流し込もうとか、そういうイメージだったんです」

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