福西崇史が選んだ日本代表ベストゲーム。「強豪ドイツが焦っているのを見て楽しくプレーできた」

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • photo by AFLO

日本代表「私のベストゲーム」(5)
福西崇史編(前編)

これまでに数多くの選手たちが日本代表に選出され、W杯やW杯予選、アジアカップやコンフェデレーションズカップなど、さまざまな舞台で活躍してきた。そんな彼らにとって、自らの「ベストゲーム」とはどの試合だったのか。時を経て今、改めて聞いてみた――。

 言うまでもなく、親善試合と公式戦では、その価値や目的はまったく異なる。

「いつも親善試合では、相手は本気じゃないと思っています。本気か、本気じゃないかって、対峙すればある程度わかりますから」

 日本代表として数多くの国際試合を経験してきた福西崇史も、その違いについてそう言いきる。

 だがしかし、福西がベストゲームに選んだその試合は、少しばかり勝手が違った。

「ドイツは自国開催のワールドカップを前に、モチベーションがかなり高かった。もちろん、本番(ワールドカップ)が一番大事ですけど、その前の親善試合であっても緊張感があるなかでドイツと試合をして、自分たちがあれだけできたっていうのは大きかった。ドイツは本番前に日本を叩きたかったんだと思いますけど、そのドイツを焦らせたっていう意味では、よくやったんじゃないかって思います」

 2006年5月30日、ドイツ・レバークーゼン。ワールドカップ・ドイツ大会開幕をおよそ2週間後に控えて行なわれた、日本vsドイツの一戦である。

ドイツW杯前、日本は強豪ドイツ相手に互角以上の戦いを見せた。「本番に向けて自信になった試合」と福西崇史ドイツW杯前、日本は強豪ドイツ相手に互角以上の戦いを見せた。「本番に向けて自信になった試合」と福西崇史この記事に関連する写真を見る ワールドカップを前にした日本代表は当時、Jヴィレッジでの国内最終キャンプを打ち上げ、渡独。かつて西ドイツの首都だったボンにベース基地を構え、本番までの直前キャンプを行なっていた。

 そのキャンプ期間中に組まれた2試合の親善試合のうちのひとつが、地元ドイツとの対戦だった。

「アジア予選とは違い、今度は世界を相手にした戦いをしなければいけないなかで、本番前にドイツとやれるのはすごくよかった。もちろん、(相手の攻撃を)受けなければいけない戦いになるかもしれないけれど、それでも自分たちがやりたいことっていうか、ボールもポゼッションしたいし、点もとりたい。そういうところをドイツ相手にどこまでできるだろうかっていう、その線引きをやろうとしていました」

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