福西崇史が選んだ日本代表ベストゲーム。「強豪ドイツが焦っているのを見て楽しくプレーできた」 (4ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • photo by AFLO

「僕は(ミヒャエル・)バラックが好きでよく見ていましたけど、(前回の対戦では)そういう選手と戦わせてもらって小馬鹿にされるような感じがあったのが、この時は(相手が)焦っているのを見て楽しくプレーできました。

 ドイツが相手ですからね。体力的には、めちゃくちゃしんどかったですけど、気持ちは充実していました」

 最終的なスコアを言えば、2-2の引き分け。日本は2-0からFK2本で追いつかれ、敵地での金星を逃す結果に終わった。

 当然、「ドイツの選手は身長も高いので、セットプレーは注意していました。気になっていたところが失点につながってしまったなっていうのはありました」。しかし、言い方を換えれば、セットプレーでしか失点しなかった、ということでもある。

「失点しているわけですから、試合後にDFラインとも課題を話しました。でも、『じゃあ、もっと後ろの比重を置こう』とはならなかった。『点をとられたからアカンかった』っていう感じではなかったです」

 横浜での完敗を経て、「余裕でやられていたチームに対して、ここまでできるようになったっていうのは成長ですし、自信にもなった試合でした」と福西は振り返り、こう続ける。

「いい雰囲気で終えられたっていうのは記憶しています」

 もちろんそれは、あくまでも親善試合の話である。

 福西自身も「負けても敗退するわけじゃないし、だからのびのびとチャレンジできた部分はあった。僕も本番だったら、ガチガチに守りにいったでしょうね」と笑い、「見方によっては、プレッシャーがないからあそこまでできたとも言えるとは思います」と話す。

 だが、そうした側面がまったくなかったわけではないとしても、「(日本代表に)これだけの力があると感じられた試合だった」ことも確かだ。

 当時の日本代表は、4年前のワールドカップで初の決勝トーナメント進出を果たした時の主力メンバーがさらに成長を遂げたことで、史上最強と評されるまでになっていた。

 そんな折でのこのドイツ戦である。ワールドカップへ向け、さらに期待が高まる試合になったことは間違いない。

「見ている人はそうだったと思いますし、やっている僕らも、ここまでできたっていうのが自信につながりました」

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