森保一日本代表監督をどう評価すべきか。続投の可否に識者の意見も割れた (2ページ目)

  • photo by Sano Miki

 泰然自若の精神を保ち、ふだんどおりに取り組めば、自ずと本来の力が引き出される。時に「相手の裏をかくことも考えた」と言うが、結論は「自分たちのスタイルを貫くこと」。ブレずにやり続けることが質の追求につながり、悲願の初優勝へとたどり着いたのだ。

 当時の状況は、今の日本代表にも当てはまるかもしれない。苦境下での振る舞いは、監督に求められる資質のひとつだろう。慌てふためくのか、ブレずにやりきれるか。成功をもたらすのは後者であることは言うまでもない。

 もはや擁護派がマイノリティなのは理解しているけど、信念の人、森保一が日本代表をさらなる高みに導いてくれると期待している。9年前の広島がそうであったように。

オーストラリア戦後、ホッとした表情でスタンドに向け挨拶をする森保一監督オーストラリア戦後、ホッとした表情でスタンドに向け挨拶をする森保一監督この記事に関連する写真を見るノー。予選は峠を越えたが、ベスト8を狙える戦略家だとは思えない
浅田真樹

 森保一監督を解任すべきか否か。結論から言えば、答えは「解任すべき」だ。

 もちろん、森保監督のよさがあることは認める。全体をコンパクトに保ち、プレー強度を高めて攻守を繰り返す。森保監督は就任以来、そうしたチームのベースとなる部分のレベルアップを図っており、昨秋ヨーロッパで行なわれた親善試合のいくつかでは、実際にそれが成果として表れていた。

 また、選手との良好な関係を築いている(ように見える)点も重要なポイントだ。主将の吉田麻也などは、森保監督への信頼をはっきりと口にしている。

 若い新戦力(五輪世代)の登用も、徐々に進んではいる。正直、もっと加速させてもいいとは思うが、段階的にチームに慣れさせ、出場機会をうかがっていると見ることはできるだろう。

 初戦でオマーンに敗れ、少々こじれたアジア最終予選も峠は越えた。予選突破は問題ないだろうし、ここから森保監督がどうチームを変えていくのか、興味や期待がないわけではない。

 とはいえ、日本代表の目標はワールドカップ出場ではなく、本大会でベスト16の壁を破ることのはずである。

 実力的に考えて、日本が自分たちの力を出しきればベスト8へ進出できる、という水準にない以上、一発勝負を仕掛けてワンチャンンスを狙う。現実的には、そのための策が必要不可欠となる。だとすれば、アジアレベルでさえ、これだけ戦略的な狙いがハマらない試合を見せられると、かなり厳しいと感じざるを得ない。

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