GK谷晃生がガンバを離れた理由「敷かれたレール」から飛び出した2年前の決意 (4ページ目)

  • 原田大輔●取材・文 text by Harada Daisuke
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 今は、たとえミスをしたとしても、同じミスはしないと思えるようになった。引きずっていても、誰かが慰めてくれる世界じゃない。次につなげていくことが、自分にとっても、チームにとっても最善だと思えています」

 湘南でも出会いがあり、人から学び、吸収している。それがGKとしての存在感になっている。その一助となってくれたのが、GKコーチとして指導してくれている齋藤誠一である。

「ガンバから来て、ベルマーレで試合に出られるようになった時、最初はうまくプレーしようとしすぎていたんですよね。たとえば、パスにしてもうまく出そうとしすぎたり、いいところに出そうとしすぎたりしていました。それを見て、『プレーをはっきりさせよう』と言ってくれたんです。

 そこが、自分が勝ち点を拾う、勝ち点につなげるプレーを考えるきっかけでもある。自分の欲よりもチームの結果につなげるプレーをしろ、ということだと捉えています」

 東京オリンピックという大舞台で、谷が見せてくれたプレーは、湘南で試合という経験を積んだことで培われたものだった。きっと、U−24日本代表でGKコーチを務めた川口能活は、そのことをわかっていたのだろう。

 シーズン途中に山口智監督が就任し、湘南は目指すサッカーも変わり、相手陣内へと押し込む時間帯が増えてきた。だからこそ----谷は言う。

「今は、試合の流れを読んでプレーしたいと思っています。チームは以前と比べて、守備に回る時間帯が減り、シュートを打たれる回数も少なくなってきている。それなのに、シュート2本のうち1本を許して、勝ち点を落としている。

 今まではシュートを止めることでリズムを掴んでいたところがあったのですが、自分がプレーに関与していない機会も増えているだけに、その数少ないシュートを止めることで、チームの勝利に貢献したいですね」

 J1第33節の横浜FC戦では、6本のシュートを打たれたが、1失点に抑えた谷は2−1の逆転勝利に貢献した。J1残留争いをするチームにとって、それは大きな勝ち点3だった。

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